公式予選レポート
3月11日の大震災以降、公式テストなどの開催が見送りとなったため、今回の富士戦においては、まず金曜日に約2時間ほどの習熟走行が用意された。チームでは用意したプログラムに沿って走行を実施。土曜の予選に向けて次々とメニューをこなした。そして迎えた土曜。午前中の練習走行で2番手のタイムをマークしたNo.100 RAYBRIG HSV-010。「これなら、予選でいい勝負ができる」と思ったのは、アタック担当の伊沢拓也。しかし、午後から強い風が吹き始めたサーキットでは路面コンディションが定まらず、難しい条件下でのアタックが必至となった。結果、伊沢は8番手で予選を通過、スーパーラップ出走を果たした。
気温15度、路面温度18度という季節はずれの温度に、スピンする車両も現われた波乱のスーパーラップ。伊沢もアタックの最中に一瞬挙動が乱れたようだったが、それでも1'33.401のタイムをマークし、7番手から決勝レースを迎えることになった。全セッションを終えたあと、伊沢は「今日のアタックではタイヤの温めが難しかった。それでも決勝ではロングのシミュレーションでコンスタントにタイムを刻むことができているし、十分上位を狙えるポジションだと思うので、最低でも表彰台を狙えるようなレースをしたい」と自信を覗かせた。さらにSUPER GT2年目のシーズンを迎えた山本は、「冬のテストからクルマの調子はとても良かったです。明日は久々のレースなので荒れた展開になるかもしれません。もしそうなったときには最後までしっかりと生き残り、粘り強く走りたいと思います」と意欲を見せた。
公式予選結果
Po |
No |
Machine |
Tire |
WH |
Driver |
Quarify #1 |
Super Lap |
1 | 39 | DENSO SARD SC430 | MI | 0 | 石浦 宏明 | 井口 卓人 | 1'33.817 | 1'32.738 |
2 | 46 | S Road MOLA GT-R | MI | 0 | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 1'32.481 | 1'32.966 |
3 | 24 | ADVAN KONDO GT-R | YH | 0 | 安田 裕信 | B.ビルドハイム | 1'34.076 | 1'33.058 |
4 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | BS | 0 | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 1'33.314 | 1'33.204 |
5 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | BS | 0 | 伊藤 大輔 | 大嶋 和也 | 1'33.966 | 1'33.210 |
6 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | BS | 0 | 本山 哲 | B.トレルイエ | 1'33.873 | 1'33.401 |
7 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | BS | 0 | 伊沢 拓也 | 山本 尚貴 | 1'33.994 | 1'33.749 |
8 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | BS | 0 | A.ロッテラー | 中嶋 一貴 | 1'34.204 | 1'33.760 |
9 | 1 | ウイダー HSV-010 | BS | 0 | 小暮 卓史 | L.デュバル | 1'33.555 | No Time |
10 | 17 | KEIHIN HSV-010 | BS | 0 | 金石 年弘 | 塚越 広大 | 1'33.914 | No Time |
11 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | BS | 0 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 1'34.218 | |
12 | 32 | EPSON HSV-010 | DL | 0 | 道上 龍 | 中山 友貴 | 1'34.520 | |
13 | 8 | ARTA HSV-010 | BS | 0 | 武藤 英紀 | 小林 崇志 | 1'34.538 | |
14 | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | YH | 0 | 片岡 龍也 | 荒 聖治 | 1'34.922 | |
15 | 35 | D'STATION KeePer SC430 | BS | 0 | 脇阪 寿一 | A.クート | 1'36.213 | |
決勝レースレポート
早朝から曇天模様だった富士スピードウェイ界隈。午前8時35分からのフリー走行を待たずしてパラパラと雨が落ち始め、セッションはウェット宣言の下、30分間実施。さらにその後、観戦者が乗り込んだ観光バスとともにコース上を走る「サーキットサファリ」が行われた。そして午後2時、66周にわたる決勝レースがスタート。すでに本降りの状態であったため、SCカー先導によるスタートとなり、6周目から実質レースが始まった。序盤でのポジションアップをもくろんだチームでは、No.100 RAYBRIG HSV-010にハードタイヤを装着。ところがさらに雨量が増え、苦戦することに。そこでチームでは予定外のピットインを敢行。後方からのポジションアップを目指すことになった。
しかし依然として雨脚は時に強く、ときに小康状態とコロコロ変化。一方、チームでは、思うようなポジションアップを果たせぬまま、44周を終えてピットイン。伊沢からバトンを受け継いだ山本は、HSV-010で初となる本格的なウェットレースに尽力。難しいコンディションの中、集中力を切らさぬ走りを見せた。レースは60周目に入り、さらに雨量が増えたため、これ以上走行を続行させることは極めて危険という判断が下されたことから、レースは赤旗中断。これをもって富士戦のレースは終了することに。結果、No.100 RAYBRIG HSV-010は12位でレースを終えることになった。
決勝レース結果
Po |
No |
Machine |
Tire |
WH |
Driver |
Time |
Best Time |
1 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | BS | 0 | 本山 哲 | B.トレルイエ | 1:56'19.904 | 1'46.488 |
2 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | BS | 0 | 伊藤 大輔 | 大嶋 和也 | 0'05.211 | 1'46.875 |
3 | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | YH | 0 | 片岡 龍也 | 荒 聖治 | 0'28.128 | 1'46.599 |
4 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | BS | 0 | A.ロッテラー | 中嶋 一貴 | 0'48.002 | 1'46.923 |
5 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | BS | 0 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 1'01.381 | 1'47.123 |
6 | 39 | DENSO SARD SC430 | MI | 0 | 石浦 宏明 | 井口 卓人 | 1'06.776+45秒 | 1'44.968 |
7 | 24 | ADVAN KONDO GT-R | YH | 0 | 安田 裕信 | B.ビルドハイム | 1Lap | 1'46.712 |
8 | 17 | KEIHIN HSV-010 | BS | 0 | 金石 年弘 | 塚越 広大 | 1Lap | 1'46.443 |
9 | 8 | ARTA HSV-010 | BS | 0 | 武藤 英紀 | 小林 崇志 | 1Lap | 1'47.903 |
10 | 46 | S Road MOLA GT-R | MI | 0 | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 1Lap | 1'45.823 |
11 | 35 | D'STATION KeePer SC430 | BS | 0 | 脇阪 寿一 | A.クート | 1Lap | 1'45.307 |
12 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | BS | 0 | 伊沢 拓也 | 山本 尚貴 | 1Lap | 1'47.351 |
13 | 1 | ウイダー HSV-010 | BS | 0 | 小暮 卓史 | L.デュバル | 2Laps | 1'46.834 |
14 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | BS | 0 | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 2Laps | 1'47.970 |
15 | 32 | EPSON HSV-010 | DL | 0 | 道上 龍 | 中山 友貴 | 6Laps | 1'46.654 |
高橋国光監督
レース開幕が順延され、僕自身も色々心配しましたが、おかげさまでレース参戦できましたね。また、ウチの若手ドライバーはみなさんからから期待されているだけに、まず成績を残すことがベストだと思っていました。しかし、今日の雨のレースでは、チームとしてとった作戦が裏目にでることになり、ヤル気で満ちていたふたりに謝りたいという気持ちです。それだけに、次回の岡山はぜひともガンバらないと。また今週末ファンのみなさまから、「レース開催を待ちに待っていた」という声を聞かせてもらったので、これからますますしっかりと戦っていきたいと思います。
伊沢拓也選手
上位でチェッカーを受けるため、ハードタイヤを選択し、レースに挑みました。雨があそこまで強くなることはないだろうと思ったからです。でもあそこまで大きく外れてしまうとは思ってもみませんでした。レース序盤はまともに走っていられないくらいでしたね。ペース的にも周りのクルマについていけるような状況ではなかったですね。悔しい結果になってしまいました。タイミングによっては今日のレースでもいいタイムが出ていたので、岡山では今回のリベンジをするしかないですね。
山本尚貴選手
ちょっとタイヤのチョイスミスかなとは思いますが、ただあの状況であれば大丈夫かも…、というチームの判断でした。一方で僕自身は、雨のGTレースの経験が去年なかったので、自分の経験値を増やすことはできたし、結果以上のものは得ることができたのでは、と思います。最後にドライブしていたとき、雨量がすごく多くて、コースにいるのがいっぱいいっぱいでした。正直、結果は残念なものでしたが、今後につながるレースにはなりました。今回の悔しさと学んだことをバネにして、また次のレースを戦いたいと思います。
手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター
予選ではちょっと予想よりも上にいけなかったんです。どうして…、と悩むところだったので、予選結果としてはちょっと不本意ではありましたね。チームとしても、HSV-010を今日のような雨をまともに走らせたことがなかったのですが、それでも上位を狙いたかったんです。結果としては、タイヤチョイスを間違えることになりました。それで途中で緊急ピットインし、そのあとは普通に淡々と走ったんです。今日の結果をもとに、富士での同じようなレースの想定をもう一度考え直したいと思います。次の岡山ではたくさんテストをしているので、結果を残したいですね。