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2011 SUPER GT

2011 SUPER GT
公式予選レポート

 Q1からQ3まで全セッションでの走行を目標にするチームでは、それぞれのセッションで山本>山本>伊沢というオーダーを組む。Q1では降り続く雨に足元をすくわれるクルマも頻繁に現れ、GT300クラスの占有アタック終了と同時にGT500クラスの車輌がコースインしたものの、コース上で1台のGT300車輌がスピン、コースアウトして赤旗になるというハプニングが発生。集中力を維持させることが難しいコンディションだったが、朝の練習走行でしっかりと走りこみを行った山本が満を持してアタックに挑み、セッション終盤に1'54.129のタイムをマーク。6位でQ1通過を果たした。
 GT500クラスのQ2は、11台から7台へと絞込みが行われる。一時小康状態だった雨が再び強くなり、アタックを行うコンディションとしてはかなりシビアな状態。それでも担当する山本はQ1からの流れを活かしながら、落ち着いてアタックに挑み、1'54.832のタイムを刻んだ。これにより、6番手でQ2を通過し、最後のQ3に挑む伊沢へとバトンを渡すことに成功した。
 Q3ではさらに雨量が再び増し、より一層緊迫感が高まる。すべてを託された伊沢は周回ごとに自己ベストタイムを更新。結果、1'57.214のタイムを刻み、No.100 RAYBRIG HSV-010は7番手から決勝を迎えることとなった。「Q3で雨量がさらに増えてしまったのですが。クルマのセットはインターミディエイトと同じだったので、アタックは決してラクではありませんでした」とアタックを終えた伊沢。「確かにもっと上のポジションを狙ってはいましたが、雨の量とか選択したタイヤなど、色んなタイミングなどの影響があるので、なにが正解だったかは正直わかりません。ただ、今日は朝からいい流れできているし、雨の中でもしっかりとステップを踏んでやれていると実感があります。リズムよく走れているし、悩むことも少ないので、決勝もいい走りができると思います」と前向きなコメントを残した。一方、山本も「次ぎに駒を進めるためのQ2が一番難しいところでしたが、Q1で先にアタックしていたぶん、Q2もうまく走れ、突破できたと思います。最低限の仕事はできたのはないでしょうか」と安堵の表情を見せた。

公式予選結果
Po No Machine Tire WH Driver Q1 Q2 Q3
146S Road MOLA GT-RMI0柳田 真孝*R.クインタレッリ1'52.3891'52.5291'54.662
239DENSO SARD SC430MI0石浦 宏明*井口 卓人1'52.4231'54.2931'55.455
312カルソニック IMPUL GT-RBS0松田 次生J-P.オリベイラ*1'54.0591'54.9391'56.308
432EPSON HSV-010DL0道上 龍*中山 友貴1'53.5841'53.0501'56.388
523MOTUL AUTECH GT-RBS0本山 哲B.トレルイエ*1'54.5881'53.3881'56.514
619WedsSport ADVAN SC430YH0片岡 龍也荒 聖治*1'54.5691'54.7461'56.869
7100RAYBRIG HSV-010BS0伊沢 拓也*山本 尚貴1'54.1291'54.8321'57.214
824ADVAN KONDO GT-RYH0安田 裕信B.ビルドハイム*1'53.8511'55.712
917KEIHIN HSV-010BS0金石 年弘*塚越 広大1'54.3881'56.342
106ENEOS SUSTINA SC430BS0伊藤 大輔*大嶋 和也1'54.171計測できず
111ウイダー HSV-010BS0小暮 卓史L.デュバル*1'54.301計測できず
1236PETRONAS TOM'S SC430BS0A.ロッテラー*中嶋 一貴1'54.726
1338ZENT CERUMO SC430BS0立川 祐路*平手 晃平1'54.736
148ARTA HSV-010BS0武藤 英紀小林 崇志*1'55.239
1535D'STATION KeePer SC430BS0脇阪 寿一A.クート*1'55.898
決勝レースレポート

 迎えた日曜の決勝日。細かな雨が降り続く中、午前9時からのフリー走行が行われた。高く上がる水煙に走行するクルマも見えないほどコース上には雨が残っており、セッション途中にはコースアウトしたクルマの回収のために赤旗が出された。そんな中、No.100 RAYBRIG HSV-010を駆る山本が、チームベストタイムの1'57.633をマークした。さらにフリー走行後、恒例のサーキットサファリが20分間行われたが、この間に雨が上がり、これにあわせて気温も上昇。続いて行われたサポートレースでは、走行ラインがほとんど乾いてしまうほど速やかにコースコンディションが回復した。土曜の最初のセッションから、日曜朝のフリー走行まで終始雨に見舞われていたため、決勝を前に行われるウォームアップ走行がいつもの8分から13分へと延長され、どのチームも慌しく決勝用セットの最終確認に追われることとなった。そして迎えた午後2時5分からの決勝。53周先のゴールを目指し、まずNo.100 RAYBRIG HSV-010には伊沢が乗り込み、スタートを切る。オープニングラップでひとつポジションアップを果たし、3周目には5番手まで浮上。その後は前後のクルマとの攻防戦で凌ぎを削り、19周目にピットインを果たした。
 チームの当初の予定よりは幾分早めのルーティンワークとなったが、「タイヤコンディションはもちろんのこと、緊迫するポジション争いなども考慮した上でのピットインだった」と、レース後に手塚長孝エンジニアは振り返ったが、結果としてチーム戦略が奏功し、その後も好位置で周回を重ねていくことになった。バトンを受け取った山本は、序盤こそ“ひとり旅”で淡々と走り続ける状況だったが、ペースが上がってくると、次第に前方のライバルの姿が現れ、山本もテンションアップ!しかも終盤は山本を含む3台のHSV勢による攻防戦を展開し、レースのヤマ場を作る活躍を見せた。最後の最後まで攻めの姿勢でレースに挑んだ結果、セミファイナルラップの90°コーナーで逆転のチャンスが到来。激しい3位争いをしていた2台の間に割って入り、4位浮上に成功した。ラスト1周、山本はその勢いを緩めることなく、最後の最後まで力走。4位でチェッカードフラッグを受け、シリーズ最終戦を無事に終えた。全8戦を戦い終え、No.100 RAYBRIG HSV-010 GTはドライバーズポイント、チームポイントともに9位を獲得。伊沢・山本コンビ2年目での初優勝実現は惜しくも果たすことはできなかったが、11月中旬、富士スピードウェイにて開催されるノンタイトル戦の富士スプリントカップで、今シーズンの成長ぶりを改めて披露してくれるに違いない。

決勝レース結果
Po No Machine Tire WH Driver Time Best Time
123MOTUL AUTECH GT-RBS0本山 哲B.トレルイエ1h37'39.2461'47.166
246S Road MOLA GT-RMI0柳田 真孝R.クインタレッリ0'01.8031'46.000
339DENSO SARD SC430MI0石浦 宏明井口 卓人0'02.4521'46.485
4100RAYBRIG HSV-010BS0伊沢 拓也山本 尚貴0'02.7031'46.960
532EPSON HSV-010DL0道上 龍中山 友貴0'03.0191'47.867
61ウイダー HSV-010BS0小暮 卓史L.デュバル0'03.4351'47.422
717KEIHIN HSV-010BS0金石 年弘塚越 広大0'20.3261'47.149
836PETRONAS TOM'S SC430BS0A.ロッテラー中嶋 一貴0'31.7261'48.162
912カルソニック IMPUL GT-RBS0松田 次生J-P.オリベイラ0'41.6881'46.776
1038ZENT CERUMO SC430BS0立川 祐路平手 晃平0'43.9921'48.113
1119WedsSport ADVAN SC430YH0片岡 龍也荒 聖治0'48.4761'47.764
1224ADVAN KONDO GT-RYH0安田 裕信B.ビルドハイム0'50.6651'47.301
138ARTA HSV-010BS0武藤 英紀小林 崇志1'27.9031'48.481
1435D'STATION KeePer SC430BS0脇阪 寿一A.クート1Lap1'47.850
156ENEOS SUSTINA SC430BS0伊藤 大輔大嶋 和也1Lap1'49.048
高橋国光監督

今日、伊沢と山本のふたりは最後まで攻めの走りを見せてくれました。チームとしては、もっと上位の結果を目指さなければならないのでしょうが、今日のレースはHonda勢トップでしたし、ドライバーに限らずチーム全体がよく頑張ってくれました。それがこの結果だと思います。コンディションが瞬く間に変わり、難しいレースでしたが、これはドライバーにもすごく勉強になることが多かったでしょう。その中で、つねに攻めのレースをしたふたりが素晴らしい。戦いの中には攻めなければ見えない、わからない部分があるので、そこを目指したことがいい勉強になったと思いますね。このもてぎ戦で得たいい感触を、次の富士でまた見せてもらいたいですね。

伊沢拓也選手

序盤に19号車、32号車を抜いて、今日はいい感じだなと思って周回を重ねていきました。途中、タイヤカスを拾ったりして少しペースが上がらなかったときもあるんですが、次第にペースも戻り、いい流れを作ることができたと思います。ピットインのタイミングはもう少し先でも大丈夫でしたが、戦いの流れを考えると、いいタイミングだったかと思います。今回、最終戦ということでノーウェイトのレースになったわけですが、この状況でHSV勢のトップでチェッカーを受けることができたのが大きい。今年はすごく苦労しましたが、前回のオートポリスから立て直し、今回、数字として結果が残せたことが一番よかったです。

山本尚貴選手

伊沢選手がポジションアップして戻ってきて、僕にしっかりと繋いでくれました。ドライブ中に状況をチームにしっかりフィードバックしてくれたため、僕はすごくいい条件で走ることができたんです。周回数がいつもより長めでしたが、それができるタイヤを選択していたし、後半はペースもよくなっていたし、最終的にはHSV勢とのバトルになりました。今年は自分のミスでレースを落としたこともあるのですが、最後に落ち着いてレースができて、自分の成長した姿をたくさんの人に見てもらいたいという思いがあったので、それができたと思うとうれしいです。4位という数字は確かに悔しいですが、今回は自分の走りとして満足のいく、納得のいく走りができたかなと思います。レース前に笑顔でレースを終えるのが一番の目標だと思っていたなかで、自分も、迎え入れてくれたスタッフも最後は笑顔だったので、それもうれしいですね。

手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター

ふたりともよく踏ん張ってレースをしてくれました。今回のレースでは雨がほとんどで、最後にドライコンディションになるというとても難しい戦いでしたね。想定外のことが多く、その中で何ができるかどうか懸命に考え、チームとして攻める姿勢を貫こうということになりました。レース前半の伊沢はペースを上げるのが難しい中、よくポジションアップしてくれたと思いますし、後半の山本も真っ向から勝負し、4位をもぎ取ってきました。結果、Honda勢トップでチェッカーを受けることになりました。今日の戦いぶりは彼らにとってもまた新たな自信になったのではないでしょうか。それぞれ来年につながるレースでしたね。

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