第2戦 富士スピードウェイ
公式予選 5月3日(木) | 決勝レース 5月4日(金) |
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RAYBRIG HSV-010、2戦連続で表彰台をゲット!
決勝を迎えた4日の富士スピードウェイは、前日同様不安定な天候の一日となった。本格的な雨にはならないものの、まるで見計らったかのようなタイミングで空から雨が落ちてくる、という気まぐれな天候に左右される中、レースそのものも落ち着きのない荒れた展開を見せることになる。
まず、午前8時30分からのフリー走行。雨は降っておらず、しかしながら路面はフルウェットという難しいコンディションの中、No.100 RAYBRIG HSV-010は決勝に向けた準備に集中。よってタイムは13番手どまりとなった。このあと天気は次第に快方に向かい、決勝を控えた昼前にはドライコンディションに近づいたのだが、決勝レースが近づくと再び黒い雨雲がサーキット上空いっぱいに広がり、雲行きが怪しくなってくる。そして出走車両がコース上のダミーグリッドに着き、ローリングスタートを待っている間に再びポツリポツリと雨が落ち始めた。瞬く間に路面を濡らしてしまった意地悪な雨のため、レースは急きょセーフティカー(SC)先導によるスタートへと変更。スローペースで1周、2周と周回が重ねられたが、この2周目を終えると大半のクルマがピットイン。レインタイヤへの交代劇がピット前で一斉に始まった。
スタートドライバーを担当した伊沢選手も2周を終えてピットイン、同様にタイヤ交換を行った。そして3周目を終えた時点でSCランが終了。4周目には本格的なレースが再開する。6位へとポジションアップに成功していたNo.100 RAYBRIG HSV-010。今回は500kmの長丁場ゆえ、ドライバー交代は最低でも2回行わなければならない。チームでは、伊沢ー山本ー伊沢のルーティンで走行する戦略を立て、序盤はHSV-010勢のトップとして周回を重ねていった。一度はレインタイヤでの走行がベストだった路面も、いつしかスリックタイヤでの走行が可能な状況へと好転。そこでチームは16周を終えた時点で伊沢選手をピットインさせ、タイヤ交換、給油、そしてドライバー交代を実施、速やかに山本選手をコースへと送り出した。このタイミングでピットインしたライバルたちはタイヤ交換のみにとどまったところも多く、結果、このタイミングで山本選手へとスイッチしたチームの作戦が、ポジションアップを導くことになったといえる。事実、ライバルたちがドライバー交代を含むピット作業に取り掛かったのは20周を過ぎてからが圧倒的に多く、500kmという長いレースならではの戦略の違いが現れた瞬間でもあった。ほぼ全車がスリックタイヤへの交換を完了すると、山本選手がドライブするNo.100 RAYBRIG HSV-010は4位で走行を続け、順調に周回を重ねていく。雨もいつしか上がり、安定したコンディションでレースは折り返しとなる55周を消化。この時点でNo.100 RAYBRIG HSV-010は2位まで浮上、表彰台獲得に向けて好位置を確保していた。
レースはその後、トップが62周を走行中にGT300の車両がメインストレート上で激しくクラッシュ。マシンが大破するという大事故のため、セーフティカーが導入された。コース上に散乱したパーツの回収作業などでSCランが続く中、No.100 RAYBRIG HSV-010は65周を終えてピットイン。48周という長きにわたり見事な燃費走行に徹した山本選手から、再び伊沢選手へとステアリングが引き継がれた。このピットインで一度はポジションを下げたものの、その後、ライバルたちも最後のルーティンワークを終了。No.100 RAYBRIG HSV-010は周りよりもかなり早めのタイミングで伊沢選手へとスイッチしたため、再び上位へと浮上するまでに暫く時間を要することになったが、レース終盤の84周には2位へとポジションを戻し、前を行く12号車のGT-Rを追いかける形となった。逃げるトップとほぼ同ペースでの周回が続き、逆転の突破口が見いだせないでいた中、なんと再び上空から雨が落ちてきた。
またも雨という要素によって文字通り水を差されたトップ争いは、思わぬ形で変化を生むことになる。というのも、12号車が緊急ピットインし、タイヤ交換を実施。この作業によって伊沢選手は思いがけない形でトップへと浮上。しかし、スリックタイヤで濡れた路面をコントロールする必要があるためにペースを緩めなければならず、逆に後方にいた39号車のSC430とは差を縮められてしまった。39号車は濡れはじめの不安定な路面を得意とするタイヤを装着しており、伊沢選手は厳しい条件での攻防戦に挑むことを強いられる。2台は緊迫したバトルを展開するも、そのラップタイムの差は明確。ついに106周目、トップの座を惜しくも譲ることになった。だが、チェッカーまで残り4周、変わらぬ集中力を見せた伊沢選手は最後の最後まで攻めの姿勢を崩すことなく2位でフィニッシュ。開幕戦に続いて連続2位を獲得する活躍を見せてくれた。なお、2戦連続2位獲得を果たしたNo.100 RAYBRIG HSV-010は、シリーズポイントでもトップに浮上。力強い戦いをしっかりアピールする形でシーズン序盤戦を消化している。
高橋国光監督
決勝はドキドキするレース展開でしたね。天気の状況やタイヤなど、レースとしては大変厳しい条件の中、伊沢・山本両選手がいい仕事をしてくれました。序盤、急な雨が降ったときに伊沢選手はよく絶えてくれたし、山本選手も中盤の燃費走行でいい走りを見せてくれたと思います。これで彼らもまたひとつ成長したことでしょう。精神的にも色んな環境に耐えられるようになり、自分との戦いができるようになりましたね。これからは、さらに速く走ることにハングリーになってもらえるとウレシイですね。結果は2位ですが、今回の結果は最初にチームスタッフの良き働きがあって、そこにドライバーが応えたということになるでしょう。開幕戦から続いて連続2位という結果を残せていることもみんなの頑張りがあってこそだと思います。このような成績を残せたことに対して、とても感謝しています。
伊沢拓也選手
予選では、難しいコンディションの中でもタイムを出せたチームもあるし、そうでないところもあるという結果が出ているので、その中で僕は大きなミスはなかったものの、タイムをうまく出すことができなかったので悔しい予選になりました。予選はインターミディエイト(浅溝タイヤ)で行ったんですが、今日初めて履いたのでクルマとのマッチングがいまイチで、うまく合わせ切れませんでした、でも決勝は長いレースなので何が起こるかわからないと思うし、最低でも表彰台を目指して頑張ろうと思っていました。決勝では(スタート直後のSCラン中のピットインを経た)最初のピットインでドライバー交代していないところが多いことにびっくりしましたね。他のチームはタイヤ交換だけのところもあったようで、正直驚きました。いずれにせよ、次の山本選手には燃費走行をしてもらうことになっていて、そこは山本選手がペースを落とさず、燃費もギリギリの状態で頑張ってくれました。でも、セーフティカーが入ったとき運が悪くて、もしあと1周(SCランが)あったらピットまで戻ってこれなかったですよ。そういう意味では運も流れも強さも今年はあるかな、と思いますね。さすがに次はクルマが重くなるので、今回のような走りは難しいでしょうが、ミスのないいいレースを続けていれば、その先にいい結果が待っているのではないかなと思います。戦略含め、すべてが強い戦いができました。僕らだけでなく、スタッフみんなが落ち着いてレースをしたと思います。
山本尚貴選手
予選では、午前中(公式練習)のタイヤとQF1を変えていったんですが、コンディションの変化に合わせて、朝の公式練習とは異なるタイヤをQF1につけて挑みました。が、あんまりコンディションに合っておらず、15分間のセッションであまり伸びしろがないなと判断し、チームに無線で状況を伝えたところ、タイヤを変えようということになりました。交換後はフィーリングが戻り、1周だけのアタックになってしまいましたが、その中でタイムを出そうと思っていました。失敗さえしなえればタイムは出せるという感じだったので、そこでトップタイムを出すというよりもスーパーラップに残らなきゃいけないというところを重視し、しっかりとミスなくアタックしてSLに残ることができたという点は良かったと思います。プレッシャーのかかる中でタイムを出すことができたので、決勝へつながる走りになったと思いますし、しっかりと追い上げてカッコいいレースができればいいなと思いました。決勝時は僕のスティントで前後の車両とすごく差が開いてしまったので、一番何をしなければいけないかを考えました。そして伊沢選手へつなぐときに、ピット作業の時間が短くてすむように給油の時間を短くすることだと考え、燃費を稼ぐ走りをやっていました。その甲斐もあってか燃費もうまくもってくれたんだと思います。この富士で表彰台に上がれたというのはシリーズを考えると大きな結果ですし、伊沢選手も言ってたように運もありましたが、今年は強い戦いができるようになっていると思います。最後、39号車に抜かれてしまったのはレースの神様のいたずらですよね。それまでの戦いとしてはものすごく強いレースができていたので、しっかりとそれをアピールできて良かったです。これから得意なコースが続くので、しっかりと持ち味を出して優勝したいですね。もちろんしっかりシリーズを考えて戦っていきたいと思います。
手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター
決勝レースでは、1回目のスティントがわりと早めのタイミングになりました。雨のせいです。今度は燃費を見てギリギリ引っ張れるところまで引っ張ってピットインしました。山本のスティントのときも、燃料を見ながらギリギリ行けるところまで行ってもらう状態で頑張ってもらいました。今回はそれぞれ2人が科せられた課題の中で最高の仕事をやってくれたんじゃないでしょうか。うまくまとめあげてくれたと思います。でも、SCが入ったときはもしあともう一周SCが走っていたら、ウチはガス欠で止まったと思います。それくらいギリギリでした。連続2位の結果を残すことができたので、あとはクルマのほうももうちょっとバランスをうまくとっていければと思います。クルマとしての課題はまだあるので、こちらの仕事としてしっかり仕事をしてセパンに挑みたいと思います。セパンでは重量もそれなりに重くなりますが、その中でもキチンと連続してポイントを獲ることができるよう、いい仕事をしたいですね。
決勝レース結果
Po | No | Machine | Driver | Time/Diff. | Laps | Best Lap | Tire | WH |
1 | 39 | DENSO KOBELCO SC430 | 脇阪 寿一 | 石浦 宏明 | 3h21'14.137 | 110 | 1'35.598 | MI | 4 |
2 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | 伊沢 拓也 | 山本 尚貴 | 12.055 | 110 | 1'36.864 | BS | 30 |
3 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 本山 哲 | M.クルム | 32.107 | 110 | 1'35.588 | BS | 16 |
4 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | 中嶋 一貴 | R.ライアン | 35.301 | 110 | 1'36.124 | BS | 12 |
5 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 49.111 | 110 | 1'36.278 | BS | 2 |
6 | 17 | KEIHIN HSV-010 | 金石 年弘 | 塚越 広大 | 1'00.738 | 110 | 1'35.845 | BS | 22 |
7 | 1 | S Road REITO MOLA GT-R | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 1'24.046 | 110 | 1'35.189 | MI | 6 |
8 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 1Lap | 109 | 1'35.978 | BS | 40 |
9 | 18 | ウイダー HSV-010 | 小暮 卓史 | C.ヴァン・ダム | 1Lap | 109 | 1'36.570 | BS | 8 |
10 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | 伊藤 大輔 | 大嶋 和也 | 1Lap | 109 | 1'36.410 | BS | |
11 | 32 | EPSON HSV-010 | 道上 龍 | 中山 友貴 | 1Lap | 109 | 1'36.745 | DL | |
12 | 35 | KeePer Kraft SC430 | 国本 雄資 | A.カルダレッリ | 2Laps | 108 | 1'36.324 | BS | |
13 | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | 荒 聖治 | A.クート | 3Laps | 107 | 1'36.138 | YH | |
14 | 24 | D'station ADVAN GT-R | 安田 裕信 | B.ビルドハイム | 12Laps | 98 | 1'35.693 | YH | |
- | 8 | ARTA HSV-010 | R.ファーマン | 小林 崇志 | 105Laps | 5 | 2'21.591 | BS | 10 |
天候:小雨のち曇 | コース:セミウェット&ドライ