第8戦 ツインリンクもてぎ
公式予選 10月27日(土) | 決勝レース 10月28日(日) |
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降り続ける雨の中、最終戦を9位でフィニッシュ!
下り坂の天候が懸念されていた今回。もてぎの上空は、朝のフリー走行を待ちかまえていたかのように次第に重くなり、セッション終盤から雨をもたらした。今回、サーキットサファリが2回行われるため、まず最初のサファリランのあと、フリー走行がスタート。45分間ではまだ雨にはなっていなかったが、2度目のサファリが始まると、ポツポツと雨が落ち始め、最終的には路面もウェット状態に。ドライコンディションで終了したフリー走行は6番手で終了したNo.100 RAYBRIG HSV-010。2度目のサファリランで雨のセット確認を念入りに行ったのは、言うまでもない。
昼の間、結構な雨量となったもてぎ周辺だが、午後2時からの決勝を前にやや小雨の状態となり、チームによっては戦略として異なるレインタイヤを選択するところも現れた。気温15度、路面温度18度と晩秋にしては寒さが先行する中で、53周のレースがスタート。不安定なコンディションということもあり、今回もセーフティカーによるスタートが採用された。
ポジションキープでオープニングラップを終えたNo.100 RAYBRIG HSV-010。今回もスタートドライバーを伊沢選手が担当する。3周目、前の1台がコースアウト、これでポジションをひとつあげて3位になったNo.100 RAYBRIG HSV-010は、なんとしてもポジションキープを目指しにかかった。ところが、後方から不安定な路面を得意とする車両が徐々に本領発揮。伊沢選手も力を振り絞って応戦するが、足下が異なると、がっぷり四つの戦いに持ち込むことは容易ではない。伊沢選手は逆転を許しても尚集中力を切らすことなく周回を重ね、チャンス到来時に勝負できる態勢をキープし続けた。
No.100 RAYBRIG HSV-010がピットインを行ったのは、22周終了のとき。この数周前からペースが上がり、もう少し周回を続けてもいい状況になったが、前後車両との兼ね合いも考慮し、ピットイン。ドライバー交代、給油、タイヤ交換のルーティンワークをスムーズに済ませ、山本選手がコースへと向かった。タイヤにも熱が入り、戦闘態勢が整ったときには、前を追いつつ後ろからもプッシュに遭うという、極めて厳しい状況に置かれることとなった山本選手。それでも粘り強く、また注意を払いながら力強い走りを披露。攻めの気持ちを前面に出して、周回を重ねていった。
レース終盤、いっそう雨が強くなった頃、7番手を走行中だった山本選手が痛恨のブレーキロック。44周目の3コーナーで攻防戦を続けている中、オーバーランを喫し、ポジションをふたつ下げてしまった。だが、チェッカーまで残り9周、悔しさを胸に山本選手は諦めない走りを続け、このままチェッカー。今シーズンの最終戦を9位で終えることになった。なお、ドライバーランキングは、HSV-010勢トップの5位を獲得している。
高橋国光監督
決勝での雨がどう戦いに左右するかと思ったんですが、やはりウチのチームにはあまりいい影響を与えることがなかったですね。ドライバーはあのコンディションの中、しっかりと仕事をしてくれたと思います。それだけに、前回のオートポリス、今回のもてぎと、天気がちょっと憎らしく思いますね。特に今回は予選で4位を獲得するなど、ふたりが一生懸命ガンバっていただけに、本当に残念。今シーズンは色んな意味でなにかしっくりと噛み合わないことが多く、結果に結びつけることができない感じでした。
おかげさまで、シーズンの結果としては、HSV勢の中でトップを獲ることはできました。でもレースは他のメーカーもいるわけですからね。そのライバルにもしっかりと打ち勝つようなチーム、クルマを来年に向けて作っていかなければいけません。さらに上を目指していいレースが出来るよう、頑張ります。そのためにも、まず富士でのスプリントカップでふたりのドライバーがそれぞれいいパフォーマンスを見せてくれると信じています。
伊沢拓也選手
前回のオートポリス同様、レインコンディションでいい戦いができなかったと、いうことですね。スタートしてから何台か抜かれてしまいましたが、それはBS(ブリヂストンタイヤ)以外のクルマなんです。でも、その一方で、38号車(SC430)がいいペースで走って優勝できているのを考えると、(同じBSを装着する)自分たちも何かできたのではないかな、と思いますね。
ピットインのタイミングはほぼ予定どおりでした。ただ、(ピットインの)数周前からペースが復活するという感じだったので、もう少し交代を先延ばしにしてもいいのかなとは思いましたが…。レースでは厳しい展開になりましたが、一方でドライだった予選では、スピードのあるところをキチンとお見せすることができましたし、一年間を戦い終えて、ホンダ勢の中ではランキングトップでシーズンを終えることができたので、そういう部分では評価はして頂けるかと思います。でも、それだけで決して満足はしていません。もっと強くなれる要素があるし、気持ちもあるので、来年に向けてさらに気持ちを高めていきたいです。JAF戦(富士スプリントカップ)でしっかり戦い、次のいい流れを作りたいと思います。
山本尚貴選手
僕のスティントは、前を追いかけつつ、後ろからも追われているという状況でした。そんなとき、3コーナーでブレーキロックさせてしまい、止まり切れないで飛び出したんです。完全に自分のミスですね。レースではペース的にもそんなに悪くなかったし、雨がひどかったので前に出るのはちょっと難しそうでしたが、あのまま走ることができていたら、ポジションキープのままチェッカーを受けることができたのに、という思いは強いです。チームのみなさんにちょっと申し訳ないことをしてしまいました。
最終戦だからこそ、いいレースをして気持ちよく終わりたかったですが、自分のミスがあって、すっきりしないままレースが終わりました。なので、今年のこの悔しい思いを来年しっかりとぶつけて戦いたいですね。今年は前半戦で表彰台に2回上ることができたし、とりわけ開幕戦(岡山)では目の前まで優勝が迫っていたので、いい流れでシーズンを始めることができました。また、途中取りこぼしなどがあって、総合的にはもうちょっとレベルの高いところでシーズンを維持していかなければいけないということ改めて学んだ一年でもありました。クルマが重くても軽くても、どんなコンディションでもいい走りができるチーム、ドライバーになっていきたいな、と強く感じましたね。この先、スプリントカップも残っているので、来年に向けて今年一年学んだことを活かした集大成のレースにしたいと思います。
手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター
クルマはもてぎのテストでいい状況だったので、それをベースに持ち込み、あとは微調整をして予選に挑んだ結果、4番手につけることはできました。でも、エンジニアとしては満足できない結果でしたね。とりわけ、トップ2台の速さを考えると、悔しい結果でもありました。ノーウェイトだった開幕戦、そして今回の最終戦もウェイトがなくなり、いわゆる同じ条件でガチンコバトルになったのに、改めてライバルと比較すると、開幕ではキチンと互角に戦えるところにいたのに、最終戦でこれだけの差がついてショックでした。レベルの上がり幅が少なく、向こうの幅が大きかった、という感じですね。ということで、決勝でも、この順位、速さがそのまま反映されることになるだろう、という懸念がありました。
加えて、決勝では雨になり、また異なるタイヤを装着するライバル達が台頭することになりました。僕らはふたりとも深溝のレインタイヤを選択したのですが、レースでは思ったほどタイムが伸びず、ポジションアップのチャンスもなかったですね。コンスタントな速さが出せる状況ではなかったと思います。中団で淡々と走り、後ろからきた別メーカーのタイヤを装着するクルマに抜かれてしまった、という結末でした。ドライバーのふたりは一生懸命走ってくれたんですが…。次の(富士)スプリントカップで何かを見つけられると、来シーズンに向けてクルマをどう組み立てていくか、が見えてくると思います。その“何か”をつかみ、来年に繋げたいと思います。
決勝レース結果
Po | No | Machine | Driver | Time/Diff. | Laps | Best Lap | Tire | WH |
1 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 1:44'17.503 | 53 | 1'52.550 | BS | |
2 | 1 | S Road REITO MOLA GT-R | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 0.138 | 53 | 1'52.380 | MI | |
3 | 32 | EPSON HSV-010 | 道上 龍 | 中山 友貴 | 10.450 | 53 | 1'51.792 | DL | |
4 | 39 | DENSO KOBELCO SC430 | 脇阪 寿一 | 石浦 宏明 | 24.682 | 53 | 1'52.467 | MI | |
5 | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | 荒 聖治 | A.クート | 29.570 | 53 | 1'52.500 | YH | |
6 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 本山 哲 | M.クルム | 1'02.600 | 53 | 1'53.019 | BS | |
7 | 18 | ウイダー HSV-010 | 小暮 卓史 | C.ヴァン・ダム | 1'03.547 | 53 | 1'53.881 | BS | |
8 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | 中嶋 一貴 | L.デュバル | 1'10.912 | 53 | 1'53.644 | BS | 37 |
9 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | 伊沢 拓也 | 山本 尚貴 | 1'13.025 | 53 | 1'53.749 | BS | |
10 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 1'20.210 | 53 | 1'53.526 | BS | |
11 | 24 | D'station ADVAN GT-R | 安田 裕信 | B.ビルドハイム | 1'32.666 | 53 | 1'53.531 | YH | |
12 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | 伊藤 大輔 | 大嶋 和也 | 1'33.320 | 53 | 1'53.216 | BS | |
13 | 8 | ARTA HSV-010 | R.ファーマン | 小林 崇志 | 1Lap | 52 | 1'53.873 | BS | |
- | 35 | KeePer Kraft SC430 | 国本 雄資 | A.カルダレッリ | 28Laps | 25 | 1'54.250 | BS | |
- | 17 | KEIHIN HSV-010 | 金石 年弘 | 塚越 広大 | 32Laps | 21 | 1'53.736 | BS | |
天候:雨 | コース:ウェット