公式予選 4月28日(日) | 決勝レース 4月29日(月) |
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RAYBRIG HSV-010、持ちうるポテンシャルを引き出して7位
祝日・昭和の日に行われた決勝。500kmという長距離は、真夏の鈴鹿で開催される「鈴鹿1000km」に次ぐタフな戦いとして位置づけされる。タイヤのマネージメント、コース上でのトラフィック、ルーティンワークのタイミングなど、ドライバーだけでなく、チーム一丸となってそれぞれの仕事を完遂しなければ望む結果は得られない。揺るぎない総合力を引き出すことが求められるハードな戦いなのだ。
午前8時30分からフリー走行を実施、ここでも決勝用のタイヤ確認はもちろん、燃料を搭載した状態でのクルマのバランスや細々とした確認作業を繰り返し行い、決勝に向けて戦闘態勢を強めていく。No.100 RAYBRIG HSV-010は12番手に留まったが、「決勝に向けての準備もできているし、フィーリングがいいというのが一番の安心材料」と伊沢は冷静に判断。また、小暮も「朝は渋滞の中で走っていただけだし、今回はレクサス勢がとても速いだけで、僕らはフィーリングがいいので、ミスのない高いレベルでレースがしたい」とヤル気を見せた。
晴れているものの、冷たい風によって気温10度、路面温度21度というコンディションの中、装着したタイヤと路面とのマッチングの差が早速現れ、オープニングラップからポジションの変動が見られた。No.100 RAYBRIG HSV-010のスタートドライバーは伊沢。予選6位から4位へとポジションアップ、さらに勢いをつけて3位へと浮上する。前にはNo.17 HSV-010。僅差で背後に着き、プレッシャーをかけていたが、その後方からまたもHonda勢のNo.18 HSV-010がペースアップし、伊沢の前に出る。
そして迎えた決勝。午後2時、フォーメーションラップが始まり、500km、110周の戦いの火ぶたが切って落とされる。前日よりやや薄曇りの天気ながら、気温21度、路面温度35度と戦いにふさわしいレース日和。GT車輌が綺麗な勇姿を見せた富士山をバックに疾走を続ける。スタートで見事なジャンプアップを果たした伊沢は、9位から7番手まで浮上。しかしその後は激しい駆け引きによる順位争いが展開され、No.100 RAYBRIG HSV-010は10番手の位置から様子を伺う。その間、伊沢の前に立ちはだかったのは、8号車のHSV-010。かつてコンビを組んだこともあるファーマン選手を相手に懸命のプッシュする。なお、このバトルはひと足先に8号車がピットインしたため一旦お預けとなり、伊沢自身もレース距離の3分の1を過ぎた38周終わりでピットインを果たすこととなった。
スムーズにルーティンワークを終えたNo.100 RAYBRIG HSV-010。代わって走行する小暮の足下はミディアムハードのタイヤが装着される。コースに向かうと待っていたのは、後続No.1 GT-Rからの猛追だった。ルーキーがドライブする1号車は果敢に小暮のテールを攻め立てる。時にはラインを変えて先行を狙う相手に対し、小暮は冷静な応戦で対処。ギリギリの攻防戦は観客にとって手に汗握るGTならではの見どころを提供することとなり、場内が大いに沸いたのは言うまでもない。
そして、この2台の劇走バトルに加わったのが8号車。三つ巴の戦いとなる中、1号車がブレーキングミスで後退。小暮は新たなる刺客との戦いを続けることになった。だが、その戦いもほどなくして8号車の2度目のピットインで幕を閉じる。一方、これを追うようにNo.100 RAYBRIG HSV-010も76周を終えてピットイン。再び伊沢がステアリングを握り、コースへと戻った。
ライバルたちのルーティンワークが終わると、No.100 RAYBRIG HSV-010は7番手で周回を重ねていく。ペースもよく、現状の中で安定した速さを見せることもできた戦いではあったが、小康状態が保たれる中、快走するレクサス勢に詰め寄るまでには至らなかった。しかしその一方でレース終盤となる98周目にはチームベストとなる1分33秒959をマーク。最後の最後まで諦めない姿勢を貫き、110周にわたる戦いを7位で終えている。今回の入賞、ポイント加算によってNo.100 RAYBRIG HSV-010は引き続き、ランキングトップを堅持。次の第3戦マレーシア・セパンでの戦いでは、より強いレースができるよう、チームが一体となって新たな目標に突き進むことになる。
高橋国光総監督
今日の結果としては7位でフィニッシュすることになりましたが、とにかく今回は正直言ってレクサスが速かったですね。いかに相手が富士スピードウェイに適していたか、ということでしょうか。そういう中でもウチのチームは一生懸命頑張って、しっかりと戦ってくれたと思います。100%のパフォーマンスを披露してくれたのではないでしょうか。
伊沢選手も小暮選手もライバルとのバトルを制したし、チームスタッフはミスのないピット作業をしてくれました。岡山で優勝したことで、富士でもファンのみなさまからの熱い声援をいただきましたし、有り難かったですね。このままの勢いでセパンに挑みたいと思います。
伊沢拓也選手
今週末は予選から決勝まで、やれることをやって結果を出したという感じです。クルマの状態としてはバランス含めて満足出来るレベルでした。確かに敵は速かったですが、自分たちの持ってるポテンシャルの中ではベストリザルトだったと思います。ただ、その一方でフィーリングも悪くないのに、7番手の結果をどう受け止めていいのか…。レース内容としては、ミスもなく500kmをキチンと走りきることができたし、レースそのものは悪くなかったです。加えてポイントリーダーもキープできたので良かったです。
岡山と富士の2戦が終わりましたが、2つのレース展開を見る限り、第3戦のセパンがどういう戦いになるのかは正直わからないです。誰が、どのメーカー・チームが強いのか速いのか、今イチちょっとわかりませんね。とりわけ今回は、トヨタの速さが際立っていましたが、次はどうなることやら。セパンがひとつの山場になることは間違いないでしょうから、しっかりと頑張りたいと思います。
小暮卓史選手
僕のセッション中は、ミディアムハードを装着して走りました。スティントの内容としてはほぼ予定通りでしたが、若干タイヤにトラブルが出たので、周回数が気持ち短めになりました。レース中は1号車とのバトルが映像でたくさん映っていたそうですが、僕らの100号車の戦う様子をたくさんアピールできて良かったです(笑)。バトル自体はとてもクリーンだったし、楽しかったですよ。でもまぁ抜く展開の方が面白いですけどね(笑)。
今回はレクサスの速さが目立った週末になりましたが、その中で僕らは自分たちの仕事をキチンとしようということになりました。結果、HSV勢トップの7位でフィニッシュできたし、ポイントリーダーも守ることができたので良かったです。次のセパンで巻き返していきたいと思います。チームに加わってまだ2戦目ですが、できれば今シーズン2勝はしたい。最低でもあと1勝はあげないと。セパンは去年、一昨年と勝っているので、今年も勝ちを狙っていきます。
手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター
今回はみんながやることをやれる範疇でやってくれたかなというところです。ドライバー2人は今回もきっちり、今の自分たちが置かれているポジションに対し、ひとつでもふたつでもポジションを上げられるように、頑張ってくれました。作戦的にも燃費をすごく絞って走ってくれていたんです。特に前半から中盤まではかなり燃費を絞ってくれましたね。また、ピットではガソリン補給やタイヤ交換もみんなよく仕事をこなしてくれました。できることはすべてみんなそれぞれ頑張ったという感じです。
ポイントでは一応トップの座を守りましたが、次の戦いとなるセパンは、去年100番としてはツラい戦いになったので、何とかしないと。暑い場所ではミシュランタイヤも強さを発揮するでしょうし、そういった中で、自分たちの実力をどこまでアピールできるかが課題ですね。去年の反省点をもとに、自分たちの足りなかったところを見直して次につなげられるようにしたいですね。
決勝レース結果
Po | No | Machine | Driver | Time/Diff. | Laps | Best Lap | Tire | WH |
1 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | 中嶋 一貴 | J.ロシター | 2:56'05.647 | 110 | 1'33.280 | BS | |
2 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 3.373 | 110 | 1'33.378 | BS | 16 |
3 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | 大嶋 和也 | 国本 雄資 | 20.075 | 110 | 1'33.381 | BS | 8 |
4 | 39 | DENSO KOBELCO SC430 | 脇阪 寿一 | 石浦 宏明 | 24.32 | 110 | 1'33.473 | BS | 6 |
5 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 41.542 | 110 | 1'33.355 | BS | 10 |
6 | 37 | KeePer TOM'S SC430 | 伊藤 大輔 | A.カルダレッリ | 42.964 | 110 | 1'33.598 | BS | |
7 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | 伊沢 拓也 | 小暮 卓史 | 1'32.512 | 110 | 1'33.959 | BS | 40 |
8 | 8 | ARTA HSV-010 | R.ファーマン | 松浦 孝亮 | 1'33.447 | 110 | 1'33.937 | BS | 4 |
9 | 1 | REITO MOLA GT-R | 本山 哲 | 関口 雄飛 | 1Lap | 109 | 1'33.804 | MI | 2 |
10 | 18 | ウイダー モデューロ HSV-010 | 山本 尚貴 | F.マコヴィッキィ | 1Lap | 109 | 1'33.950 | MI | 12 |
11 | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | 荒 聖治 | A.クート | 1Lap | 109 | 1'34.155 | YH | |
12 | 24 | D'station ADVAN GT-R | 安田 裕信 | M.クルム | 1Lap | 109 | 1'34.532 | YH | |
13 | 32 | Epson HSV-010 | 道上 龍 | 中嶋 大祐 | 2Laps | 108 | 1'34.654 | DL | |
- | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 92Laps | 18 | 1'33.794 | MI | 22 |
- | 17 | KEIHIN HSV-010 | 塚越 広大 | 金石 年弘 | 107Laps | 3 | 1'37.445 | BS | 30 |
天候:晴 | コース:ドライ