第1戦 岡山国際サーキット
公式予選 4月6日(土) | 決勝レース 4月7日(日) |
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RAYBRIG HSV-010、7年ぶりの勝利に酔う!
迎えた決勝日。岡山国際サーキットの朝は、澄んだ青空が上空に広がる一方で、時折冷たい風とともににわか雨が降るという不安定な天候となった。だが、午前9時15分からのフリー走行を前に、天気が回復。序盤こそ濡れた路面に対し、ウェットタイヤを装着しての周回だったが、終盤は完全にドライコンディション。タイヤの皮むきを始め、決勝に向けて最終の準備を順調に進めていった。
フリー走行後には、SUPER GTお馴染のサーキットサファリが行われ、コースをゆっくりと走行する観光バスの間を、GT車輌がエキゾーストノートとともに駆け抜けていく。路面コンディションも大きく改善したことから、No.100 RAYBRIG HSV-010 も小暮が1分24秒695までタイムアップした。
決勝はこのまま好天が続けば、ドライコンディションでの戦いとなる確率が高い。しかしその一方でレースウィーク中はドライでのロングランをほとんど確認できていないことから、戦いは波乱含みの展開になることが予測される。だが、伊沢、小暮の両ドライバーが過去岡山で好成績を残しているという実績をチャンスに、チームではさらなる領域に挑もうと、士気を高めた。
午後2時、82周にわたる今シーズンの開幕決勝レースがスタート。だが、予選2番手のNo.32 HSV-010がフォーメーションラップ中にコースアウト。ローリングスタートの隊列を整えるべく、さらにセーフティカーが1周牽引。レースは81周にて行われることになった。
晴れているものの、冷たい風によって気温10度、路面温度21度というコンディションの中、装着したタイヤと路面とのマッチングの差が早速現れ、オープニングラップからポジションの変動が見られた。No.100 RAYBRIG HSV-010のスタートドライバーは伊沢。予選6位から4位へとポジションアップ、さらに勢いをつけて3位へと浮上する。前にはNo.17 HSV-010。僅差で背後に着き、プレッシャーをかけていたが、その後方からまたもHonda勢のNo.18 HSV-010がペースアップし、伊沢の前に出る。
以後、4番手で周回を続けていたが、前半終了間際にNo.12 GT-Rが背後に迫ってくる。しかし、伊沢は落ち着いて後続の動きを牽制、39周を終えてピットインするまでポジションキープをやり遂げた。ピットでの作業に当たり、チームでは気温が落ちる中、安定したタイムを刻めるという観点からミディアムタイヤをチョイス、小暮をコースへと送り出す。タイヤに熱が入るまではペースアップもままならなかったが、その後、小暮は徐々に速さを見せる走りを披露。GT500全車がルーティンのピットインを済ませると、3番手で周回を重ねることになった。
レースは後半に入り、一時は前後車輌と4~5秒ほどあったタイム差が次第に小さくなってくる。小暮は前方のNo.18 HSV-010との差を縮めにかかるが、相手もほぼ似通ったラップタイムを刻み、テール・トゥ・ノーズまでには至らない。だが、60周を過ぎると、今度はトップを独走してペースコントロールをしていたかに思われたNo.23 GT-Rのペースが思うほど伸びず、結果としてトップとの差が縮まり、その後ろをHonda勢3台が追いかけるという形となった。
まず、18号車を追う小暮に対し、後方の17号車も隙をついて仕掛けてくる。文字通り、手に汗握る駆け引きが続いたが、68周目のアトウットカーブで18号車がスピン。これで前がクリアになった小暮は逃げの態勢でクルマをコントロールすることに尽力した。依然として17号車の猛追は続いたが、逆に、小暮とトップ23号車との差もさらに小さくなってくる。そして、タイトなレイアウトを持つショートコースゆえ周回遅れの車輌が多く絡み始めたことから、チェッカーまで残り10周を切る頃にはトップ3が縦一列に並んでチャンピオンを目指すという、GT史上稀に見る激しく熱い攻防戦へと姿を変えていく。
絶好の獲物が目前に迫った小暮。勝負は77周目の終盤、サイド・バイ・サイドに持ち込み、ときには軽く接触しながら牽制し合う中、イン側のラインをキープして優位に立った小暮がついにトップを奪取! しかしまだ戦いは終わらない。この流れに合わせ、17号車も23号車を逆転してさらに小暮に詰め寄ってきた。そして大渋滞の中、迎えたファイナルラップ。ギリギリのバトルを繰広げる中、最後は小暮が競り勝ち! 移籍直後の開幕戦でチームに優勝をプレゼントするという価値ある結果を残すことになった。
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高橋国光監督
今日の勝利までの道のりはホント長かったですね。でも、長かったからなおさら今日の優勝は大きな喜びとなりました。なによりも、今日のレースの内容が素晴らしかった。バトルが多いSUPER GTの中でも、滅多に見られないような内容だったと思います。岡山国際サーキットの特徴でもある、ショートコース、タイトなレイアウトの中で、どんなバトルになるんだろうと心配でしたね。あのくらいバトルを続けていれば、最終コーナーで抜かれる可能性だってあるんですから。そんな中で小暮がいい走りをしてくれました。それにはまず前半に走った伊沢の頑張りがあります。そこでいい位置をキープしてくれたことが、小暮の走りにつながったと思います。彼らにとっては今日はいいレースになったことでしょう。これからは自信がなおいっそういい方向に向くと思います。
今日、このような結果を出すことができて、改めてスポンサーをはじめ、ファンの方々、多くの人たちに感謝しています。大きな大きな勝利です。僕は何にもしない監督ですが、本当にうれしいです。今日はチャンピオンシップに向けての第一歩ですから、これから最終戦までの残り7段のステップをしっかり上っていければいいなと思います。ありがとうございました。
伊沢拓也選手
すべては今日この日のために、僕たちドライバーだけでなく、研究所(Honda・栃木研究所)もクルマを色々改造してくれて、タイヤも去年チャンピオンを獲れなかったブリヂストンが復活しようと、多くの人たちが努力した結果が形になったという思いです。後半、小暮選手がすばらしい走りを見せてくれたことも大きな勝因です。
僕のスティントでは、なんとか前に離されないようにと思いつつ走りました。ただペース的には僕も小暮さんも同じですが、今日、レースで走っている中で一番速いクルマではなかったと思います。それでもドライバーがガンバって一番にできたと思います。チームに入ってから勝利するまで長かったですが、達成できて本当にうれしいです。
小暮卓史選手
開幕戦でトップを獲ることができて、本当に良かったです。終盤から最後にかけて、色々とバトルがありましたが、レースとして結果を残すことができました。勝因として、ピットインとアウトラップのタイミングが良かったこと、あと、周りは固めのタイヤを履いていたということだったんですが、チームはミディアムを選択していました。そういうことも有利に働いたんだと思います。
このチームでしばらく勝っていなかったということですが、移籍早々に勝利できて、本当にうれしいです。良かったと思います。最後のバトルでは(昨シーズンのレース展開であったように)また抜かれるかと思って冷や冷やしてましたが、なんとか抑えることが出来て良かったです。この勢いのままシリーズを戦っていきたいですね。
手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター
HSV-010ラストイヤーになる今シーズン、いいスタートが切れました。今日のレースはチーム全員が持てる力を出し切った結果だと思います。予選ではタイヤの選択をしっかりしていたので、結果に対して不安はありませんでした。コンディションに合わせたクルマのセットアップもできていましたし。とりあえず焦らず、ベースのセットを崩すことなくレースに挑み、勝負ができたというのがうれしいですね。
ピットインのタイミングは、意外に周りが入らなかったので予定よりも引っ張ることになりました。スタート時のタイヤはやわらかいタイヤで、後半はミディアムを着けました。気温が落ちても、ソフトは走れるんですが、ちょっと剛性感が足りないようだったので。ウォームアップはツラかったと思いますが、終盤のタイムは良かったですからね。
今日はドライバーがしっかりと仕事をしてくれたことが勝利につながりました。スタッフの士気が上がる勝利です。ウィンターテストでは、色んなことを常にガマンしながらクルマを開発してきたことが報われたかなとも思います。Hondaさんと一緒になって新しいものを取り入れる中、最後まで仕様が決まらずレースを迎えましたが、冬場に色んなテストをたくさんしたおかげで、いいレースができました。
決勝レース結果
Po | No | Machine | Driver | Time/Diff. | Laps | Best Lap | Tire | WH |
1 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | 伊沢 拓也 | 小暮 卓史 | 1:58'48.911 | 81 | 1'24.173 | BS | |
2 | 17 | KEIHIN HSV-010 | 塚越 広大 | 金石 年弘 | 0.555 | 81 | 1'24.168 | BS | |
3 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 4.903 | 81 | 1'24.274 | MI | |
4 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 11.534 | 81 | 1'24.603 | BS | |
5 | 18 | ウイダー モデューロ HSV-010 | 山本 尚貴 | F.マコヴィッキィ | 12.612 | 81 | 1'24.057 | MI | |
6 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 50.496 | 81 | 1'24.560 | BS | |
7 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | 大嶋 和也 | 国本 雄資 | 54.294 | 81 | 1'24.093 | BS | |
8 | 39 | DENSO KOBELCO SC430 | 脇阪 寿一 | 石浦 宏明 | 1'11.663 | 81 | 1'25.030 | BS | |
9 | 8 | ARTA HSV-010 | R.ファーマン | 松浦 孝亮 | 1'29.527 | 81 | 1'23.802 | BS | |
10 | 1 | REITO MOLA GT-R | 本山 哲 | 関口 雄飛 | 1'30.704 | 81 | 1'25.335 | MI | |
11 | 32 | Epson HSV-010 | 道上 龍 | 中嶋 大祐 | 1'32.049 | 81 | 1'25.566 | DL | |
12 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | 中嶋 一貴 | J.ロシター | 1Lap | 80 | 1'24.952 | BS | |
13 | 24 | D'station ADVAN GT-R | 安田 裕信 | M.クルム | 1Lap | 80 | 1'25.555 | YH | |
14 | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | 荒 聖治 | A.クート | 1Lap | 80 | 1'25.633 | YH | |
15 | 37 | KeePer TOM'S SC430 | 伊藤 大輔 | A.カルダレッリ | 2Laps | 79 | 1'24.836 | BS | |
天候:晴 | コース:ドライ