第6戦 富士スピードウェイ
公式予選 9月7日(土) | 決勝レース 9月8日(日) |
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RAYBRIG HSV-010、追い上げの中、ハプニングに見舞われリタイヤに終わる
早朝の富士スピードウェイ。重い灰色の空が一面に広がり、しとしとと雨が落ちている。午前9時からのフリー走行を前に本降りとなり、30分間のセッションでは、各チームとも持ち込んだウェットタイヤの確認作業に追われることとなった。
このまま天候が悪化するかと思いきや、さにあらず。次第に青空が復活し、時折強い日差しが照りつけるなど、汗ばむほどの暑さが戻ってきた。さらに決勝直前のダミーグリッドに車両が整列する頃には、気温29度、路面温度35度と初秋の富士とは思えないほど蒸し暑さがサーキットを包み込む。グリッド場にはレインタイヤの準備もなされたが、その必要もないまま、午後2時に66周の戦いが幕を開けた。
まずはポジションキープとなる4番手でオープニングラップを終えたNo.100 RAYBRIG HSV-010。スタートドライバーを務める伊沢が順調な滑り出しを見せる。さらには前を行く18号車のHSV-010への追撃を開始、8周目の1コーナーで逆転を果たし、3位に浮上した。
3位で順調に周回を重ねていたNo.100 RAYBRIG HSV-010だったが、レース開始から30分を過ぎ、19周目に入ったとき、メインストレートを走行する車両の左リアタイヤが突然バースト! スピンしながらコースを横断するような形でイン側のガードレールにクラッシュ。これでメインストレート上にパーツが散乱、20周目からセーフティカーがコースをコントロールすることになった。
その2周後、隊列が揃ったことを受け、ピットレーンオープンのボードが表示される。いまだSCランが継続しているため、23周を終えた各車両が続々とピットイン。ルーティンワークの作業を行うべく、ピット前は騒然とした状態となった。No.100 RAYBRIG HSV-010を待ち受けたスタッフが慌ただしく作業に取り掛かる。ところがこの際、タイヤ交換でミスが発生、一斉にコースへと復帰していくライバルを横目にピット前では作業が続く。さらにクルマを送り出すときに車両を一旦後退させる必要もあり、タイムロスが重なる。時間にして僅かなものでも、ポジションダウンは明らか。結果、No.100 RAYBRIG HSV-010は8番手でコースへと戻ることになった。
新たにステアリングを握る小暮の前には39号車のSC430。縦一列の渋滞の中、懸命に追い上げる小暮。しかし、Bコーナーで39号車に僅かに接触、その後、No.100 RAYBRIG HSV-010のスピードが落ちはじめる。実は接触時にパーツの一部が破損、それがラジエターに刺さるというまさかのハプニングに遭遇してしまったのだ。ラジエターの水漏れにより、戦闘力を失ったクルマはペースダウンした状態でピットへ。クルマはガレージに納められ、そのまま最後までコースへ姿を現すことはなく、富士の戦いを終えている。
思わぬトラブルに足下をすくわれ、戦列を離れたNo.100 RAYBRIG HSV-010。シリーズランキングでも7位へと後退することに。しかしながら、残り2戦での逆転も十分に可能。トップとの差は9点。安定した速さを武器に、終盤の猛追に期待が集まる。
高橋国光総監督
今日は思わぬ形でミスが重なり、レースを終えることになりました。予選からドライバーふたりは全力で頑張っていただけに残念で仕方ありません。ここ暫くいい形でレースを終えることが難しい状況ですが、まだまだチャンピオン争いでは希望がありますので、オートポリスともてぎでしっかりといいレースをしてもらいたいですね。とにかくもったいないレースでした。ファンの皆様には大変申し訳ない気持ちでいっぱいですが、ドライバーはもちろん、チームみんながテンションを上げて頑張っていますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。
伊沢拓也選手
決勝では天候が読めない戦いになると思ってはいましたが、クルマは予選からずっと良かったし、決勝でも序盤はいいレースができていただけに、今回の結果はとてもつらいものがありますね。セーフティカーの導入によってすべてが変わってしまいました。タイミングを含め、ピット位置の関係で作業時間も余計にかかってしまったようです。もったいないレースになりました。チャンピオン争いではライバルも増えることになりましたが、それよりもまず、次のレースではキチンと戦い、結果を残したい。戦い抜いて気持ちよくフィニッシュすることを目指します。
小暮卓史選手
ピットイン自体がエマージェンシーになり、作業に時間もかかったため、ポジションを下げてコースに戻ることになりました。そのあと、目の前の39号車を追いかけていたのですが、接触自体はそんなに大きなものではありませんでした。見た目にはほとんどわからないくらいです。しかしながら当たり所が悪かったというか、破損したカーボンパーツがラジエターに刺さってしまい、水が漏れ出しました。伊沢選手やチームにとっても残念な結果になり悔しいです。このままではシーズンを終えるわけにはいきませんので、残り2戦は気持ちよく全力で戦いたいなと思います。まずは悔しさをしっかりとオートポリスでぶつけて、いい結果を出したいですね。
手塚長孝オペレーテイングテクニカルディレクター
予選では今季チームベストの結果を出すことできました。色々これまでやってきたことがうまく形として現れたのだと思います。もうちょっとうまくまとまれば2番手も可能でしたね。そのあたりはチームとしてもまだまだ勉強しないと。一方で、決勝は色んなミスが重なりました。セーフティカーのコースインを受けてピットインをしたわけですが、多くのクルマがコースインする中で、ピット位置の関係で作業時間が余計にかかった上、作業ミスもありました。チームとしての反省点です。レース再開後の追突も残念でした。その時に欠けたバンパーがラジエターに当たり、穴が空いてしまいました。今日は3位で終われる可能性もあっただけに、しょうがないとは言いづらいですね。ミスがあり、リタイヤにつながった。負けるときの負け方でレースを終えたという感じです。オートポリスはウェイトが軽くなる一方、ライバルも増えますが、そのぶんチャンスがあると思います。テストでも手応えがあったので、しっかり戦っていきたいですね。
決勝レース結果
Po | No | Machine | Driver | Time/Diff. | Laps | Best Lap | Tire | WH |
1 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川 祐路 | 平手 晃平 | 1h53'20.347 | 66 | 1'34.633 | BS | 46 |
2 | 17 | KEIHIN HSV-010 | 塚越 広大 | 金石 年弘 | 2.862 | 66 | 1'35.368 | BS | 52 |
3 | 37 | KeePer TOM'S SC430 | 伊藤 大輔 | A.カルダレッリ | 8.247 | 66 | 1'35.192 | BS | 58 |
4 | 6 | ENEOS SUSTINA SC430 | 大嶋 和也 | 国本 雄資 | 21.705 | 66 | 1'35.591 | BS | 48 |
5 | 18 | ウイダー モデューロ HSV-010 | 山本 尚貴 | F.マコヴィッキィ | 29.431 | 66 | 1'35.292 | MI | 80 |
6 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 松田 次生 | J-P.オリベイラ | 37.231 | 66 | 1'36.400 | BS | 82 |
7 | 1 | REITO MOLA GT-R | 本山 哲 | 関口 雄飛 | 44.094 | 66 | 1'35.465 | MI | 32 |
8 | 8 | ARTA HSV-010 | R.ファーマン | 松浦 孝亮 | 47.62 | 66 | 1'35.781 | BS | 56 |
9 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 柳田 真孝 | R.クインタレッリ | 49.414 | 66 | 1'35.900 | MI | 84 |
10 | 24 | D'station ADVAN GT-R | 安田 裕信 | M.クルム | 1'09.683 | 66 | 1'35.742 | YH | 12 |
11 | 39 | DENSO KOBELCO SC430 | 脇阪 寿一 | 石浦 宏明 | 1Lap | 65 | 1'35.394 | BS | 74 |
12 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | 中嶋 一貴 | J.ロシター | 1Lap | 65 | 1'35.436 | BS | 68 |
- | 19 | WedsSport ADVAN SC430 | 荒 聖治 | A.クート | 30Laps | 36 | 1'35.888 | YH | 16 |
- | 100 | RAYBRIG HSV-010 | 伊沢 拓也 | 小暮 卓史 | 40Laps | 26 | 1'35.318 | BS | 74 |
- | 32 | Epson HSV-010 | 道上 龍 | 中嶋 大祐 | 48Laps | 18 | 1'36.531 | DL | 6 |
天候:小雨のち曇 | コース:セミウェット&ドライ