公式予選 9月15日(土) | 決勝レース 9月16日(日) |
RAYBRIG NSX-GT、待望の今季初勝利を達成
SUPER GT第6戦の決勝を迎えたスポーツランドSUGOは、終日雨の心配もなく、時折強い日差しが照りつける秋晴れの天気に恵まれた。そんな中、ポールポジションからレースを開始したNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、前半2位で周回を重ね、34周終了時点でドライバー交代を実施。その後、アンダーカットでトップを奪還すると、途中、セーフティカー導入という波乱をも物ともせず、トップでチェッカー!
決勝ではさまざまなハプニングにも動じることなく安定感ある走りと混戦の中での強さを存分に発揮し、81周の戦いを制覇。チームとしては2015年第6戦SUGO以来、また今シーズン待望の初優勝を飾ることとなった。
予選日よりさらに天気が安定した決勝日。朝からすっきりとした秋晴れが広がり、恵まれたレース日和になった。午後2時、気温26度、路面温度37度とレースウィーク一番の暑さの中、81周の戦いがスタート。No.100 RAYBRIG NSX-GTは山本選手がスタートドライバーを務め、序盤の戦いを迎える。
スタートダッシュを決めてトップでオープニングラップを終えたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。ハイペースで周回、瞬く間に後方との差を広げて10周終了時点で5秒ものギャップを築いた。だが、前日よりも大幅に上昇した気温、路面温度の影響を受け、装着していたソフトタイヤからはムービングが起きはじめる。結果、23周目には背後に迫っていた12号車に逆転を許すことに。しかしながら、その後も12号車との差を最小限に留め、走行を続けた。
ルーティンのピットインは34周終了時。ドライバー交代からタイヤ交換、給油までを39.6秒で済ませると、バトン選手がコースへと向かっていく。そして、アウトラップから攻めの走りを見せるバトン選手は、4周遅れでピットインしてコース復帰した12号車をレインボーコーナーで逆転。この時点でピットインを済ませていない39号車がトップを走っていたためポジションこそ2番手ではあったが、事実上のトップ奪還を果たした。
レースは折返しを過ぎ、3番手の12号車が最終コーナーでオーバーランしたことでさらに2台のギャップが開く。そして46周を終えて39号車がピットイン、ついにNo.100 RAYBRIG NSX-GTが再びトップに立った。
その後、2位との差を16秒強まで広げたバトン選手だったが、57周目の最終コーナーでまさかのオーバーラン。周回遅れのGT300車両をパスしようとアウト側のラインを取った際、挙動を乱してランオフエリアへ。これでタイムロスを招き、2位との差を3秒ほど縮まってしまった。さらに13周後、GT300車両がクラッシュ、グラベルにストップしたため、69周の途中からセーフティカー(SC)がコースイン。この時点でNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、12号車を逆転して2位に浮上していた8号車に10秒強の差をつけていたが、SCランによってすべてが水泡に帰すこととなった。
76周にはレースが再開。バトン選手は残りわずか6周の戦いに全力を振り絞って応戦する。だが、その矢先、4コーナーと最終コーナーでそれぞれ車両が1台ずつクラッシュ。2箇所に黃旗が提示される一方、ドクターカーがトップ争いを繰り広げる2台の走行を塞ぐような形でコースインし、バトン選手は予期せぬブレーキングを強いられてしまった。
それでもなんとかトップを死守したまま残りを周回。バトン選手は無事トップでチェッカーを受け、待望のSUPER GT初優勝を果たした。一方、山本選手、そしてチームクニミツにとっては2015年第6戦SUGO大会以来の勝利。またチームとして、2006年第7戦もてぎ大会以来となるポール・トゥ・ウィンでもあった。
シリーズランキングは今回の完勝によって61点となり、トップへ。2位も同じNSX-GTの8号車となったが、その差は12点とリードを広げることになった。残り2戦も気を引き締め、チーム一丸となってタイトル争いに邁進するのは言うまでもない。
◎高橋国光総監督
今回は、予選からいい流れがありました。まずバトン選手がQ1を突破し、山本君がQ2ですごいタイムを出してポールポジションを獲ってくれましたからね。
そこから始まったんでしょう。ふたりがそれぞれ刺激を受けていい形になったんだと思います。
バトン選手もF1にはない、SUPER GTという舞台での戦い方にだいぶ慣れてきたんだと思います。
レースに関してはもう何もいうことありません。嬉しい結果です。ドライバーの頑張りはもちろんですが、チームスタッフみんながすごく頑張ってくれました。
すべてがうまく作動しました。次のオートポリスが心待ちです。皆さんにも楽しみにしていただきたいと思います。
◎山本尚貴選手
前半、序盤かなりペースもよかったし、後続とのギャップを作ることができました。
ソフトタイヤでスタートしたのですが、予想以上に気温が上がり、タイヤのムービングもあってペースが上がらなかったですね。
でも、色んなところでうまく行ったレースでした。チャンピオンシップもリードできているので残り2大会でいいところで終われるようにまた気を引き締めて戦います。
今回、メンテナンスを担当するATJと一緒に仕事をし始めてからの初優勝になりました。
レース終盤もみんなと力を合わせて頑張りたいと思います。
◎Jenson Button選手
本当に今日はタフなレースでした。問題は終盤、セーフティカーがコースインしてからでした。
それにファイナルラップになってドクターカーがコースインして…。信じられない状況でした。
一方、僕自身も最終コーナーでミスをしました。前に2台の遅い車がいて、それを抜こうと思ったんです。でも抜きにかかったら、フロントタイヤのグリップを失い、まっすぐコースアウトしてしまいましたね。ちょっと焦りました。
ただ今日のレースはすべてが思いどおりに運びました。レース自体はなかなか大変な展開でしたが、これこそがSUPER GTなのでしょう。簡単には勝てないレースで勝てて、本当に嬉しいです。
◎小島一浩監督
予選、決勝と戦略がうまく行きました。このSUGOは正攻法だとなかなか戦えないところなので、山本選手からの提案もあり、今回チャレンジしました。
予選でポールポジションを獲ったこともその後押しになりました。色んな意味でいい風が吹いてくれたことが優勝に繋がったようにも思います。
未確定要素というか、未知の要素がたくさんある中でドライバーそれぞれがいい仕事をしてくれました。ただ、終盤にセーフティカーやドクターカーがコースインしたときはハラハラしました。
どんな展開になってもドライバーもメカニックもミスなくいい仕事をしてくれたので、今回はみんなの頑張りが結果に結びついての優勝だったと思います。
決勝レース結果
Po | No | Machine | Driver | Time/Diff. | Laps | Best Lap | Tire | WH |
1 | 100 | TEAM KUNIMITSU | 山本 尚貴 | ジェンソン・バトン | 1:52'08.765 | 81 | 1'13.807 | BS | 80 |
2 | 8 | AUTOBACS RACING TEAM AGURI | 野尻 智紀 | 伊沢 拓也 | 0.562 | 81 | 1'14.040 | BS | 68 |
3 | 12 | TEAM IMPUL | 佐々木 大樹 | ヤン・マーデンボロー | 1.350 | 81 | 1'13.923 | BS | 36 |
4 | 16 | TEAM MUGEN | 武藤 英紀 | 中嶋 大祐 | 1.693 | 81 | 1'14.209 | YH | 16 |
5 | 38 | LEXUS TEAM ZENT CERUMO | 立川 祐路 | 石浦 宏明 | 3.304 | 81 | 1'13.598 | BS | 60 |
6 | 24 | KONDO RACING | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | 高星 明誠 | 5.188 | 81 | 1'13.888 | YH | 26 |
7 | 23 | NISMO | 松田 次生 | ロニー・クインタレッリ | 5.579 | 81 | 1'14.467 | MI | 70 |
8 | 3 | NDDP RACING with B-MAX | 本山 哲 | 千代 勝正 | 6.772 | 81 | 1'14.875 | MI | 18 |
9 | 17 | KEIHIN REAL RACING | 塚越 広大 | 小暮 卓史 | 10.304 | 81 | 1'14.471 | BS | 76 |
10 | 39 | LEXUS TEAM SARD | ヘイキ・コバライネン | 小林 可夢偉 | 11.674 | 81 | 1'15.071 | BS | 70 |
11 | 6 | LEXUS TEAM LEMANS WAKO'S | 大嶋 和也 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | 44.424 | 81 | 1'14.990 | BS | 68 |
12 | 36 | LEXUS TEAM au TOM'S | 中嶋 一貴 | 関口 雄飛 | 57.033 | 81 | 1'15.241 | BS | 80 |
13 | 64 | Epson Nakajima Racing | ベルトラン・バゲット | 松浦 孝亮 | 4 Laps | 77 | 1'14.558 | DL | 6 |
14 | 1 | LEXUS TEAM KeePer TOM'S | 平川 亮 | ニック・キャシディ | 5 Laps | 76 | 1'15.269 | BS | 94 |
- | 19 | LEXUS TEAM WedsSport BANDOH | 国本 雄資 | 山下 健太 | - | - | - | YH | 30 |
天候:晴れ | コース:ドライ
山本尚貴選手&ジェンソン・バトン選手のコンビで
初ポールを獲得!
昨シーズンは真夏の開催だったSUGO大会だが、今シーズンは本格的な秋の訪れを控える中で迎えることになった第6戦。
9月15、16日、宮城・スポーツランドSUGOにおいてSUPER GTシリーズ第6戦「SUGO GT300KM RACE」が行われ、チームクニミツのNo.100 RAYBRIG NSX-GTは予選でポールポジションを獲得した。
天気予報では雨模様と伝えられたが、実際は予選日の朝のみウエットコンディションとなり、午後からのノックアウト予選は曇り、さらに決勝日は秋晴れの中で戦いが繰り広げられた。
気温21度、路面温度23度でスタートした土曜日の公式練習では、まず山本尚貴選手がドライタイヤでドライブを開始。暫定トップタイムをマークした後にジェンソン・バトン選手へと交代し、セッティングの確認等を行った。
その後、コース全域で雨が降り始めたため、ウエットタイヤへと置換。バトン選手が周回を重ねた。
そして、セッション終了後までコンディションが改善しなかったため、結果として序盤に山本選手がマークした1分11秒928がトップタイム扱いとなっている。
午後2時、まずGT300クラスのノックアウト予選が開始。
まだウエット宣言が出されてはいたが雨はすでに昼すぎには上がっており、コース上はレコードラインを中心にほぼドライコンディションという状態だった。
なお、GT300クラスのアタック中に赤旗中断があったため、セッションが遅延。午後2時52分、気温23度、路面温度27度の中、GT500クラスのQ1がスタートする。
青空が上空に見える中、まずNo.100 RAYBRIG NSX-GTのステアリングを握ったのはバトン選手。
公式練習でドライタイヤを装着したものの、Q1でいきなりニュータイヤでのアタックに挑むことになった。さらに開始8分後、1台の車両がSPコーナーでコースアウト。赤旗となりセッションが中断する。この時点でNo.100 RAYBRIG NSX-GTは9番手。このままではQ2進出は叶わない。
だが、バトン選手は残り2分45秒という僅かな時間を見事にマネージメント。1分11秒387で4位に浮上すると、ラストアタックでさらにタイムを削って1分11秒321をマーク! 3番手でQ1突破を果たした。
Q2は午後3時44分にスタート。
気温、路面温度はQ1と変わらなかったが、路面コンディションは完全なドライ。
山本選手はコースイン直後からアタックモードに入り、計測3周目へ。すでに大きくタイムアップするライバルが現れる中、満を持して1分10秒248を叩き出し、トップへ躍り出る。
結果、コースレコード更新を果たすとともに、山本選手そしてチームクニミツにとって2017年第3戦オートポリス大会以来となるポールポジションを手にすることとなった。
申し分のない予選結果を手にしたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。
Q1で奮闘したバトン選手は「いきなりドライのニュータイヤでアタックすることになりましたが、3番手を獲れて本当にうれしい。
ただ、朝の走行でクルマが良く仕上がっていたので、プレッシャーも感じました」と慌ただしい状況の中でのアタックを振り返りつつ、「尚貴もいい仕事をして、ポールポジションを獲れました。SUGOでいいレースをするのは他のサーキットより大変ですが、楽しみにしています」と決勝に向けての意気込みを語った。
一方、自身2度目のポールポジションを獲得した山本選手。
「JB(バトン選手)がSUGOで初めてニューのドライタイヤでQ1を走って、Q2に繋げてくれたのが大きい。いいアタックのおかげで、僕自身もどのくらいのアタックができるのか、データを重ね合わせて頭の中でイメージすることができた」と満足気。
さらにはチームの仕事にも触れ、「周りよりも頭一つ良いセットを見つけられている。そのセットを持ち込んでくれたおかげでポールポジションが獲れたと思う」とスタッフへの感謝を言葉にし、「そのスタッフの努力に応えるためにも明日はいい仕事をして優勝したい」と力強く語った。
公式予選結果
Po | No | Machine | Driver | Q1 | Q2 | Tire | WH |
1 | 100 | TEAM KUNIMITSU | 山本 尚貴 | ジェンソン・バトン | 1'11.321 | 1'10.248 R | BS | 80 |
2 | 12 | TEAM IMPUL | 佐々木 大樹 | ヤン・マーデンボロー | 1'11.043 | 1'10.286 R | BS | 36 |
3 | 8 | AUTOBACS RACING TEAM AGURI | 野尻 智紀 | 伊沢 拓也 | 1'11.360 | 1'10.352 R | BS | 68 |
4 | 17 | KEIHIN REAL RACING | 塚越 広大 | 小暮 卓史 | 1'11.021 | 1'10.652 | BS | 76 |
5 | 16 | TEAM MUGEN | 武藤 英紀 | 中嶋 大祐 | 1'11.474 | 1'10.803 | YH | 16 |
6 | 19 | LEXUS TEAM WedsSport BANDOH | 国本 雄資 | 山下 健太 | 1'11.590 | 1'11.122 | YH | 30 |
7 | 38 | LEXUS TEAM ZENT CERUMO | 立川 祐路 | 石浦 宏明 | 1'11.457 | 1'11.571 | BS | 60 |
8 | 24 | KONDO RACING | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | 高星 明誠 | 1'11.862 | 1'12.872 | YH | 26 |
9 | 1 | LEXUS TEAM KeePer TOM'S | 平川 亮 | ニック・キャシディ | 1'11.879 | | BS | 94 |
10 | 36 | LEXUS TEAM au TOM'S | 中嶋 一貴 | 関口 雄飛 | 1'11.954 | | BS | 80 |
11 | 6 | LEXUS TEAM LEMANS WAKO'S | 大嶋 和也 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | 1'12.207 | | BS | 68 |
12 | 23 | NISMO | 松田 次生 | ロニー・クインタレッリ | 1'12.263 | | MI | 70 |
13 | 3 | NDDP RACING with B-MAX | 本山 哲 | 千代 勝正 | 1'12.816 | | MI | 18 |
14 | 64 | Epson Nakajima Racing | ベルトラン・バゲット | 松浦 孝亮 | 1'14.549 | | DL | 6 |
15 | 39 | LEXUS TEAM SARD | ヘイキ・コバライネン | 小林 可夢偉 | - | | BS | 70 |
曇/ドライ(天候/コース)
全8戦で戦うSUPER GTシリーズも、次のスポーツランドSUGOで6戦目を迎えることになる。後半戦は搭載するウェイトハンディの兼ね合いでタフな戦いを凌いできたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。現在、シリーズランキングでは40ポイントを獲得し、Honda勢トップの3位につけている。
SUPER GTが開催されるサーキットとしては距離も短く、またアップダウンの多いコースとして知られるSUGOは、時としてハプニングやアクシデントを含む予期せぬ展開になることもあり、”魔物が棲む”コースとも言われる。
また、コースレイアウトを考慮すればエンジンパワーが求められる中、No.100 RAYBRIG NSX-GTはウェイトハンディによって燃料流量リストリクターが2ランクダウン(その分、搭載ウェイトは80kgから46kgに)となるため、厳しい戦いになるのは必至。
さらに、レースでのGT300を含むコース上の渋滞にどう対処するかなど留意する点はたくさんある。だが、そんな試練があるからこそ、シーズンを通して向上中であるチームの総合力をしっかりと引き出し、安定した戦いをすることが大事になってくる。
秋を迎えたものの、依然として残暑が残る日本列島。だが天候次第ではNSX-GTの強みを発揮できる可能性もあるだけに、持ちうる力を存分に披露し、終盤戦に向けていい足がかりを作り上げたいところだ。