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2021 AUTOBACS SUPER GT Round6『AUTO POLIS GT 300KM RACE』
予選:2021年10月23日 決勝:2021年10月24日
オートポリス(大分県)
予選:晴れ / ドライ 決勝: 晴れ / ドライ
公式練習:15番手 予選:13番手 決勝:6位
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10月23、24日、大分・オートポリスにおいてSUPER GT第6戦「AUTOPOLIS GT 300km RACE」が行われ、シリーズランキング暫定トップに立つNo.1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)は、予選13位からスタート。序盤から荒れ模様で慌ただしい展開となった戦いを粘り強く走り抜き、6位入賞を果たしている。
前日に続いて晴れの天気に恵まれたものの、やや曇り空が先行する天候になった決勝日。時折冷たい風が強く吹き付け、冬の寒さを覚えることもあった。今回は全国で緊急事態宣言が解除されてから迎える初のSUPER GTレースでもあり、オートポリスには1万人を超えるファンの姿があった。
午後1時30分、気温12度、路面温度20度と前日の予選開始時よりもやや温度が下がる中、65周にわたる戦いが幕を開ける。
牧野選手がスタートドライバーを務めるNo.1 STANLEY NSX-GTは、タイヤの温まりが良い後続車にかわされ、オープニングラップを14位で終了。だが、周りでもタイヤマネージメントに苦しむ車両が多く、その中で粘り強くアプローチを続けていく。また、今回はエンジン交換によるピットストップペナルティを受ける車両が3台おり、序盤の時点で1台、また1台とコースを離れた。
そんな中、8周目にGT300車両が第1ヘアピンで激しくクルマを損傷させて停止。
最初はフルコースイエロー(FCY)導入が提示されたが、その後、セーフティカー(SC)導入へと切り替わった。
これで前とのギャップが詰まり、No.1 STANLEY NSX-GTにとっては追い風の材料が増えることとなった。17周にはレースが再開、9位で前車を追う牧野選手。すると、今度はレーストップを走行していたNo.16 NSX-GTがタイヤ脱落のアクシデントに見舞われ、コース脇にクルマを止める。さらに、その数周後にGT300車両が第3コーナーでクラッシュ。これを受け、レースには2度目のSCが導入された。
ペースコントロールでの走行が続く中、22周を過ぎるとピット前にタイヤを準備するチームが出始めるなど、各車ルーティン作業を意識した動きが起こる。24周終わりでSCが退去。このタイミングでNo.1 STANLEY NSX-GTはピットへと帰還し、牧野選手から山本選手へとスイッチした。今回は、SC明けということもあり同様の戦略を採るチームが多く、コース復帰後はアンダーカットを狙った車両同士で激しいポジション争いが始まった。29周終わりで総合トップのNo.64 NSX-GTがピットイン、この直後から3番手となった山本選手は、目前のNo.39 Supraを仕留めようと奮闘。コーナーで追いつくも立ち上がりで離されるという搭載ウェイトによる力の差を苦しみながらも、高い集中力で逆転のチャンスを伺った。だが、ピットアウトを経てタイヤが温まった64号車がペースアップ、先行を許してしまい、4番手でレース後半へと向かうことになる。
その後、39号車との攻防戦が続く中、背後のNo.23 GT-Rに抜かれ、5番手になったNo.1 STANLEY NSX-GT。一方、2番手の64号車がペースダウン、No.1 STANLEY NSX-GTの後方にいるNo.38 Supraを含め、5台による激しい2位争いへと形が変わっていった。結果、64号車が順位を下げたものの、逆に38号車が先行したことで、No.1 STANLEY NSX-GTは依然として5番手で周回を重ねていく。このままチェッカーを迎えたいところではあったが、残り3周の時点でNo.3 GT-Rがハイペースで迫り、第2ヘアピンでポジションが入れ替わった。
No.1 STANLEY NSX-GTは最後の最後まで39号車を攻め立てたが、惜しくも逆転には至らず6位でフィニッシュ。しかしながら、厳しい条件をはね退ける粘り強いパフォーマンスを見せ、5ポイントを計上。2連覇に向けて手応えある戦いができたといえる。
次戦は今シーズン2度目のツインリンクもてぎ。前回ポール・トゥ・ウィンを果たし、タイトル争いで上昇気流に乗った場所でもある。残り2戦の戦いでは、サクセスウェイトは半減して60㎏になるが、参戦車両の中で唯一”燃リス”調整の対象になる。だがしかし、チャンピオン経験のあるチーム、ドライバーとして最善を尽くす戦いをし、最終戦に向けて理想的な形を構築したいところだ。
◎高橋国光総監督
前戦の菅生から引き続き厳しい条件の中での一戦になったかと思います。
唯一の燃料リストリクターが3リスダウンというマシンで、ポイントを獲れれば良い方だと思っていました。しかし練習走行から予選、予選日から決勝日と走行セッション毎に改善が見られ、わたし自身も驚かされました。ドライバーの持つポテンシャルと、チーム全員の底力が再び発揮された一戦となりました。チャンピオンシップ連覇に向けて大きなポイントを獲得することができ、また一つ連覇の目標に近づくことができました。次戦のもてぎは少し条件が軽くなるとはいえ、周りと比べると一番難しい条件にはなるため、気を引き締めて準備をしていきたいと思います。
引き続きチームクニミツをよろしくお願い致します。
◎山本尚貴選手
手応えとしてはもう少しポジションが上でも良かったかなというほど、クルマのポテンシャルとしては調子が良かったです。一方、レースでは(自身のスティントで)39号車にフタをされる形になったのです、もし抜いていたら展開が変わった可能性があったと思うと悔しいです。”3リスダウン”のクルマでは、コーナーで前のクルマに追いついても立ち上がりで離されてしまう。
わかってはいましたが、もし一発で仕留めていれば良かったというのが唯一の後悔でもあるし、早めに抜けていたら23号車、3号車にも先行されなかったのかなとも思います。
ただ、レース途中は13〜14番手を走っていたことを思えば、6位でポイントを獲れて良かったです。着実にタイトルを獲るためのレースができたし、順番以上に収穫がある週末でした。次につながるレースであったことに違いはありません。いずれにせよ最後のレースで(タイトルが)決まる選手権なので、最終戦までちゃんと権利を残した状態でいきたいですし、もてぎでは、気持ち的に余裕をもって最終戦に挑めるようなレースをできたらと思います。
◎牧野任祐選手
サクセスウェイト的にも難しいレースになると思っていたので、その中で自分たちのできることを精一杯やろうと挑みました。まずクルマの調子が良く、僕のスティントでもいい感じで走ることができました。
ただどうしても”3リスダウン”が効いてしまい、オーバーテイクできるまでには至りませんでした。
なので、走行中は燃費走行の戦略を採りました。一方でセーフティカーのタイミングによってトップとのギャップも詰まったこともあり、うまくピット作業も利用することができました。
(ピットインのタイミングが早くなって)後半、山本(尚貴)選手には長いスティントを託すことになりましたが、ペースは良いものの、やはり前のクルマを抜くことができない状況だったので、改めてサクセスウェイトの難しさを感じました。ただ、厳しい戦いの中でポイントは獲れました。
次戦はウェイトが半減しますが、まだ燃リスが続くのでしっかり踏ん張って最終戦をいい形で臨めるようにしたいです。
◎小島一浩監督
結果として見ると良い内容でした。今回は、ホンダとして3ランクダウンのリストリクターでのレースが未経験だったのですが、ここまでストレートスピードに対する差が生まれてしまうのだと思いました。今回は、まず予選でどのくらい前で行くのかという戦いではなく、久々のレースとなるオートポリスでどうやって決勝でいいペースでやるか、ということがとても重要でした。
それゆえ、予選は苦しみましたが、最後はいい形になりました。ただ、その中でもクルマはいいバランスだったし、レースウィーク中にもどんどん向上していきました。決勝では2日間の中で一番いい状態で挑めたと思います。
レースでのピットインのタイミングは良かったのですが、今回はセーフティカー明けのピットインだったので、リスクを負いながらの部分もありましたが、それを承知の上で完璧な仕事ができたのはチームの総合力だと思います。今年は戦いの中でミスすることもなく、いい流れの中でシーズンを過ごすことができているので、なんとかこのまま最終戦までもっていきたいですね。
目まぐるしく変化する不安定なレース展開を味方にしてシーズン2度目の表彰台にあがった前大会から1ヶ月あまり。いよいよ終盤戦へ突入した戦いは、大分・オートポリスがその舞台となる。昨シーズンはコロナ禍で開催が見送られたこともあり、2年ぶりの一戦は入念な準備をもって戦いに挑むこととなった。
第4戦もてぎでのポール・トゥ・ウィン、続く第5戦の2位と抜群の勝負強さで戦い続ける今シーズンのNo.1 STANLEY NSX-GT。今大会は110kgのサクセスウェイトを背負って戦うことになる(実搭載ウェイトは50kg、3ランクダウンの燃料流量リストリクターを装着)ため、過酷な一戦になることは言わずもがな。それでも柔軟性あるパフォーマンスを披露できるのは、チームクニミツとしての総合力の高さであるだけに、残り2戦に向けて手応えある戦いをしたいところだ。
冷たい風が吹く中、午前9時15分から公式練習がスタート。山本尚貴選手が先にNo.1 STANLEY NSX-GTへと乗り込んだ。開始から1時間を迎える直前、コース上で停止した車両を回収するために赤旗が提示され、セッションが中断する。この時点でNo.1 STANLEY NSX-GTは8番手の走りを見せていた。再開後もセッティングの調整を続け、GT300クラスとの混走時間をほぼ使い切る形で山本選手が走行を担当した。牧野任祐選手は混走枠の終了直前にコースイン。セットアップのフィーリングを確認し、一旦GT300クラス専有走行の間はピットで待機した。GT500クラス専有走行に入ると決勝を見据えたロングランの確認を行なった。このセッションにおけるチームベストタイムは山本選手がマークした1分34秒276、またポジションは15番手に留まったが、サクセスウェイト等、1号車としての状況をを踏まえ、決戦に向けての準備を着実に行うことはできたといえる。
秋晴れの青空が一面に広がったオートポリス。午前中から緩やかに気温が上がり、午後2時28分からのQ1を迎える頃には、気温14度、路面温度24度まで上昇した。
Q1担当の山本選手がタイヤをしっかり温めるべく、セッション開始ほどなくしてコースへと向かった。アウトラップを経て計測3周目にアタックを行うと、刻んだタイムは1分33秒070。上位8台には残れず、ここで予選を終える。ウェイト等の諸条件により、メインストレートで本来の速さを存分に発揮できない厳しさから、No.1 STANLEY NSX-GTは予選13位から決戦に挑むことになった。
「厳しい予選になると予想はしていた」と一日を振り返った山本選手。一方で、朝の走行から予選にかけてクルマを調整したことで手応えを得ることになったというプラス材料も見つかった。クルマは、「正直、Q1を通過できたかなと思うほど調子が良かった」そうだが、サクセスウェイトによる”足かせ”で、対ライバルの部分では、ストレートスピードの差を感じたという。一方の牧野選手は「朝のセッションでロングランの確認もできたし、レースではしっかりと追い上げて粘り強い戦いができればいいと思うし、普段どおり僕たちの戦いをするだけ」と現状を受け止め、決勝での追い上げを誓ってくれた。
シーズン最重量ウェイトで2年ぶりのオートポリスに挑む
10月を迎えてもなお夏日の天気が続いているが、’21年SUPER GTシリーズはいよいよ残り3戦となり、ますますタフな戦いが予想される。そんな中、第6戦の舞台となるのは九州・大分オートポリス。昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点によって開催が見送られたが、今シーズンは前大会のスポーツランドSUGOに続いての地方大会となる。
今シーズン、優勝を含む着実なレース結果を残しているチームクニミツ。最後の最後までなにが起こるかわからないレースを戦う中で、手堅くポイントを積み重ねることができているのは、なんと言っても高いチーム力があるからこそ。短時間で状況を改善し、自分たちの持ちうる力を最大限発揮することに努めていることが、確実に成果として現れているのは言うまでもない。
一方、現時点でシリーズランキングトップを堅持する中、獲得ポイントに応じて搭載されるサクセスウェイトは110kgまで膨れ上がった。レギュレーションにより、50kgを超えるとサイズダウンした燃料流量リストリクターを併用するためオートポリスで搭載されるウェイトは50kgへと軽減されるが、代わりにリストリクターは3ランク下がる。アップダウンに富み、中高速のレイアウトを持つオートポリスの特性を考慮しても、NSX-GT本来のスピードをフルに発揮することは難しい。また、高いタイヤへの攻撃性も気になるところだ。しかしながら、前回のSUGOでも厳しい条件をものともせず柔軟に対応し、緻密な戦略を活かして申し分のない結果を導いた。それだけに、今大会でも”チームベスト”の戦いを遺憾なく発揮してくれるはずだ。
阿蘇山麓に位置し、風光明媚なロケーションでも知られるオートポリス。一方、天候に左右されやすいことも多く、当日は天気次第で急激にコンディションが変化する可能性もある。だが、どのような状況になろうとも、チームクニミツならではの粘りある戦いを貫徹することでシリーズタイトルへまた一歩近づきたいところだ。