ドライバー、チームの高い結束力が光ったシーズン
2018年に念願のSUPER GTチャンピオンに輝いたチームクニミツ。その功労者である山本尚貴、ジェンソン・バトン両選手が2019年もコンビを継続させ、ディフェンディングチャンピオンとして新たなシーズンを迎えた。ドライバー同士のコミュニケーションがより細やかになることで互いを高めるパフォーマンスが躍進を生み、それを支えるチームもまた新たな挑戦に向かってタフなシーズンに臨むこととなった。
岡山で迎えた開幕戦。まず、コースレコードを更新する好タイムで予選3番手と好位置につけた。初戦での優勝を狙った決勝は、あいにくの雨模様。セーフティカーが介入するなどの不安定なコンディションながら、丁寧かつ冷静に攻めのレース運びを見せて序盤にトップへと浮上した。しかしその矢先、多重クラッシュによる赤旗中断で水を挿される。レース再開後はNSX-GT同士の一騎打ちを展開、だがその末に待っていたのはまさかの接触。大きくポジションを落とす中、懸命の追い上げを見せたが、天候悪化によってレースは打ち切り終了に。15位で初戦を終えた。
第2戦富士は開幕戦のリベンジとも言える戦いに。予選では思うようにタイムを伸ばせず、まさかのQ1どまり。12番手からのスタートに甘んじた。また、決勝レースはスタート直前に雨が降り始め、2戦連続のウェットコンディションで幕を開ける。また、長丁場の戦いでは途中雷雨により一時中断を余儀なくされたが、次第に回復の気配を見せた。その中でドライバーそしてチームは得意とする不屈の精神を披露し、コツコツとポジションアップを果たしていく。結果、500kmという長丁場の利点を活かし、終盤には他車とのバトルを制して3位表彰台を獲得。勝負強さを見せた。
第3戦鈴鹿では連続表彰台を狙い、まず予選で7番手につける。5月ながら暑さが先行するタフな戦いを強いられた決勝。ようやくドライコンディションでの走りが叶った戦いで、まずは着実なレース運びを見せていく。だがその一方でレースは荒れた展開となり、これまで同様またもセーフティカーがコースイン。その後も落ち着いた走りで表彰台の一角を視野に入れて周回を重ねていたが、終盤に入り、激しい攻防戦を繰り広げていたGT300車両に絡み、まさかの接触となる。結果、タイヤがバーストして緊急ピットインを余儀なくされたことから、13位で戦いを終えた。
厳しい戦いが続いたシーズン序盤。海外へと舞台を移し、第4戦はタイのチャン・インターナショナル・サーキットで迎えることになった。上昇気流に乗る機会を得ようと、酷暑の中、まず予選で7番手につけて決勝へ。より蒸し暑くなった決勝レース。ところが大混戦の中、スタート直後に他車との接触によってボディパーツを破損。空力が十分に確保できず、不安定な状態で周回を重ねた。ルーティンのピットインで修復を果たすと、ポジション挽回を目指して力走。だが、ドライバー交代後にまたも他車との接触が発生。タイヤ交換を強いられるなど、12位でのチェッカーとなった。
思うような結果が残せない中、シーズン2度目の富士での戦いが第5戦として開催された。シリーズ最長の一戦をチームにとって追い風にしたいところであったが、予選はQ2進出を逃し10番手となった。しかし、決勝では緻密な作戦とドライバーふたりが攻防戦でキレのある見事な走りを見せつけて、ポジションを確実に上げていく。途中、セーフティカーがコースインする荒れ模様になる中、チームが採った戦略が奏功。ピット作業の大混乱を避けることに成功し、2位へと浮上する。終盤には2位争いが激化したもののこのままチェッカーを受け、シーズン2度目の表彰台に立った。
台風の影響を受け、レースウィークを通して不安定なコンディションとなった第6戦オートポリス。まだ残暑が残るサーキットは先行きの読めない状況となった。一方、シーズン中、まだ2度の表彰台に留まるチームとしては、再び上位入賞はもちろん、表彰台を狙いたい一戦ではあったが、予選でのタイムアップが叶わず12番手に甘んじた。迎えた決勝は雨の心配が残る中でスタートが切られる。早めの勝負に出たいと考え、果敢な攻めの走りを見せるが、他車との競り合いの中で接触を避ける形でスピンを喫する。しかもそのままコースアウトとなり、コース復帰を果たせず戦いを終えた。
シーズン終盤の第7戦SUGOは、チームにとって起死回生を願う戦いとなった。前戦に続き、またも台風接近の影響で落ち着きのない天候に左右される中、まず予選で2番手のポジションを手に入れ、前年に続く優勝を目指した。迎えた決勝はスタート直前に雨模様になったが、ウェットコンディションの中でトップを快走。しかし、攻防戦を繰り広げる中で介入したセーフティカーの影響を受け、装着するタイヤコンディションが激変。ペースアップが思うようにできずにポジションを落とし、8位での悔しいフィニッシュとなった。
迎えた最終戦もてぎ。ホンダのホームサーキットでの一戦であり、また山本、バトン両選手のコンビでのラストレースにもなったこのレースで、チーム一丸による奮闘が実を結ぶことになった。予選こそ思うようにタイムを伸ばせず、Q1止まりという悔しさを味わったが、小春日和の中でスタートした決勝では、安定した速さを武器に他車との激しいバトルを制しながら、ひとつまたひとつとポジションアップに成功する。バトン選手から山本選手へと繋ぐ中、終盤には6位へと浮上。このままチェッカーを受けてシーズン4度目の入賞を果たし、長く厳しい戦いの幕を下ろした。
全シリーズ戦終了後、11月下旬には、SUPER GTとドイツツーリングカー、DTM車両との初の特別交流戦が富士スピードウェイにて開催された。通常のSGTレースとは異なり、スプリントでの戦いには山本選手が参戦。スタイルが異なる戦いながら、チーム力を存分に発揮し、まず初日のレース1では予選3位からスタートを切った。セーフティカーがコースインする荒れた内容ながら、冷静なレース運びを見せて3位でチェッカー。そして、2日目のレース2でも3位スタートを切り、またも落ち着かない展開の中でときに激しいバトルを披露するなど、渾身のパフォーマンスで4位チェッカーを受けた。
予期せぬ出来事や願わない展開が続き、真のチーム力を存分に発揮できたとは言い難いレースが多かった今シーズン。レース毎に全力での戦いを挑んではきたが、完全燃焼するのが難しい状況でもあった。一方で、その悔しさが次なる戦いへのモチベーションとなり、厳しい戦いの中でもつねに前を向いて突き進んできたことには違いない。2020年もまた次なる目標に向け、全速力で邁進するのみである。
RESULT / REPORT
GT500 DRIVER RANKING
|
RD1 |
RD2 |
RD3 |
RD4 |
RD5 |
RD6 |
RD7 |
RD8 |
Series Total Point |
RANKING |
CAR NO. |
DRIVER |
Point |
1 |
6 |
大嶋和也 |
山下健太 |
0 |
3 |
11 |
21 |
25 |
5 |
5 |
15 |
85 |
2 |
37 |
平川亮 |
ニック・キャシディ |
0 |
4 |
15 |
15 |
10 |
11 |
8 |
20 |
83 |
3 |
23 |
松田次生 |
ロニー・クインタレッリ |
8.5 |
16 |
0 |
0 |
14 |
0 |
11 |
3 |
52.5 |
4 |
38 |
立川祐路 |
石浦宏明 |
1.5 |
20 |
5 |
4 |
0 |
8 |
0 |
8 |
46.5 |
5 |
39 |
ヘイキ・コバライネン |
中山雄一 |
0 |
8 |
6 |
6 |
0 |
20 |
4 |
0 |
44 |
6 |
17 |
塚越広大 |
ベルトラン・バゲット |
0 |
6 |
0 |
0 |
4 |
16 |
7 |
6 |
39 |
7 |
36 |
中嶋一貴 |
関口雄飛 |
1 |
0 |
21 |
2 |
0 |
1 |
1 |
12 |
38 |
8 |
1 |
山本尚貴 |
ジェンソン・バトン |
0 |
11 |
0 |
0 |
18 |
0 |
3 |
5 |
37 |
9 |
3 |
平手晃平 |
フレデリック・マコヴィッキィ |
4 |
5 |
2 |
5 |
0 |
0 |
20 |
0 |
36 |
10 |
8 |
野尻智紀 |
伊沢拓也 |
10 |
2 |
8 |
0 |
5 |
6 |
0 |
0 |
31 |
11 |
19 |
国本雄資 |
坪井翔 |
2.5 |
0 |
4 |
11 |
3 |
3 |
0 |
4 |
27.5 |
12 |
64 |
ナレイン・カーティケヤン |
牧野任祐 |
0.5 |
1 |
0 |
1 |
2 |
4 |
15 |
0 |
23.5 |
13 |
12 |
佐々木大樹 |
ジェームス・ロシター |
5.5 |
0 |
1 |
3 |
8 |
0 |
0 |
0 |
17.5 |
14 |
24 |
高星明誠 |
ヤン・マーデンボロー |
3 |
0 |
3 |
8 |
0 |
2 |
0 |
1 |
17 |
15 |
16 |
武藤英紀 |
中嶋大祐 |
2 |
0 |
0 |
0 |
6 |
0 |
2 |
2 |
12 |
GT500 TEAM RANKING
|
RD1 |
RD2 |
RD2 |
RD4 |
RD5 |
RD6 |
RD7 |
RD8 |
Series Total Point |
RANKING |
CAR NO. |
TEAM |
Point |
1 |
37 |
LEXUS TEAM KeePer TOM'S |
3 |
7 |
18 |
18 |
13 |
14 |
11 |
23 |
107 |
2 |
6 |
LEXUS TEAM LEMANS WAKO'S |
3 |
5 |
14 |
23 |
28 |
8 |
7 |
18 |
106 |
3 |
23 |
NISMO |
10.5 |
18 |
0 |
3 |
16 |
2 |
14 |
6 |
69.5 |
4 |
38 |
LEXUS TEAM ZENT CERUMO |
4.5 |
23 |
8 |
7 |
0 |
11 |
1 |
11 |
65.5 |
5 |
39 |
LEXUS TEAM SARD |
3 |
11 |
9 |
9 |
0 |
23 |
6 |
3 |
64 |
6 |
3 |
NDDP RACING with B-MAX |
7 |
8 |
5 |
8 |
1 |
2 |
23 |
0 |
54 |
7 |
17 |
KEIHIN REAL RACING |
3 |
9 |
0 |
1 |
6 |
18 |
8 |
9 |
54 |
8 |
36 |
LEXUS TEAM au TOM'S |
4 |
0 |
23 |
5 |
0 |
4 |
3 |
14 |
53 |
9 |
1 |
TEAM KUNIMITSU |
2 |
14 |
2 |
1 |
21 |
0 |
5 |
8 |
53 |
10 |
8 |
ARTA |
13 |
4 |
11 |
0 |
8 |
9 |
1 |
1 |
47 |
11 |
19 |
LEXUS TEAM WedsSport BANDOH |
5.5 |
1 |
7 |
14 |
5 |
6 |
1 |
7 |
46.5 |
12 |
64 |
Modulo Nakajima Racing |
3.5 |
3 |
2 |
4 |
3 |
7 |
18 |
2 |
42.5 |
13 |
24 |
KONDA RACING |
6 |
1 |
6 |
11 |
0 |
5 |
1 |
4 |
34 |
14 |
12 |
TEAM IMPUL |
8.5 |
1 |
3 |
6 |
11 |
2 |
1 |
0 |
32.5 |
15 |
16 |
TEAM MUGEN |
5 |
2 |
2 |
0 |
9 |
1 |
4 |
5 |
28 |