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2020 AUTOBACS SUPER GT Round3『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』
予選:2020年8月22日 決勝:2020年8月23日
鈴鹿サーキット (三重県)
予選:晴れ/ドライ 決勝:晴れ/ドライ
公式練習:9位 予選:8位 決勝:2位
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8月22、23日、盛夏の中、鈴鹿サーキットにおいて2020年SUPER GTシリーズ第3戦が開催された。予選8番手から300km先のゴールを目指したNo.100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)は、荒れたレース展開をものともせず力強いパフォーマンスを披露。2位でチェッカーを受け、今シーズン初となる表彰台を獲得している。
前夜遅く、小一時間ほどの激しい雨に見舞われたサーキット周辺。この影響か、決勝日の朝はいくぶん気温が下がり、湿度も低く過ごしやすい状況だった。だが、時間の経過とともに次第に気温が上昇。眩し過ぎるほどの日差しから、じりじりと暑さが伝わってきた。
午前10時30分から参戦ドライバーによる「ドライバーアピアランス」がスタート。
今回もまたリモート観戦となるファンの皆さんのもとへ健闘を誓うドライバーたちの勇姿が伝えられる。その後は、決戦を前にしたウォームアップ走行が行われ、午後1時からの決戦に備えた。
1周5.807kmのレーシングコースを52周して行われる決勝。No.100 RAYBRIG NSX-GTには今回も牧野選手が乗り込み、午後1時にスタートする。
気温31度、路面温度45度のコンディションの中、オープニングラップでひとつポジションを上げ、その勢いで前車に追随。だが、後方ではGT300同士の接触が発生したことで、早速セーフティカー導入という展開になった。
レースは5周目にリスタート。この間に前を走る1台が車両トラブルにより戦線離脱したため、No.100 RAYBRIG NSX-GTは6番手から再び戦闘を開始する。9周目には同じNSX-GTの17号車をシケインで逆転。また、周回遅れのGT300クラスが絡む中、上位集団が激しいつばぜり合いを繰り広げており、牧野選手もそこに加わる形で5番手へポジションを上げると、さらに16周目に14号車と38号車の2台のGR Supraをパス。2位まで浮上した。一方、レースは17周目に2度目のセーフティカーランが導入される。
これは、バックストレート上に1台の車両のフロントカウルが落下したため。撤去および回収、そしてGT500およびGT300クラスの隊列を整えるためにレースは6周に渡ってコントロールされた。
レースは23周目にリスタート。これを機にルーティンのドライバー交代を行うためにピットインする車両が続出。牧野選手ももこれに合わせてピットイン、山本選手へと交代した。スムーズにコース復帰を果たしたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。だが、後半戦に向けて新たな戦いが始まった頃、またも29周目にセーフティカーがコースインする。3度目のレースコントロールはGT300車両同士による接触が原因だったが、34周目に再スタートが切られると、山本選手はトップの23号車 GT-Rを1秒2前後の差で追随する。リスタート明けのため、猛追する後方車両を意識しての走行ではあったが、次第にその差は広がり、山本選手はひたすらトップを意識した走りに尽力する。
だが40周を過ぎると、トップ3台はそれぞれ単独走行状態に。一方でアクシデントによるセーフティカー導入など、コース上で様々なハプニングが発生する荒れた展開は最後まで続き、レースはサバイバルと化した一戦になった。結果、粘り強く走り切ったNo.100 RAYBRIG NSX-GTは2位でチェッカー。山本&牧野両選手による初めての表彰台を手にすることとなった。
開幕戦から3戦連続で入賞を続けるNo.100 RAYBRIG NSX-GT。
現時点でシリーズランキングはホンダ勢トップの3位に。そして次戦のウェイトハンディは52kgとなる。ストップ&ゴーのレイアウトを持つツインリンクもてぎはタフな一戦になると予想されるが、1ポイントの重みを知り尽くすチームならではの戦いを繰り広げてくれることだろう。
◎高橋国光総監督
速さを確信していながらも、悔しいレースが続いていたので、今大会でやっと表彰台にのぼることができ大変嬉しく思います。皆様にも良いご報告ができました。
フリー走行時、そして予選の結果からの2位表彰台はとても素晴らしいレースができたという証拠ではないでしょうか。8番手スタートから素晴らしい追い上げを見せてくれた牧野選手は、早くもRAYBRIG NSX-GTで表彰台にのぼってくれました。その牧野選手のお手本となり、チームをささえ、最後まで手堅いレースをしてくれた山本選手も、さすがだったと思います。この二人のコンビがこれからとても楽しみになりました。
また、暑い中がんばってくれたチームの皆に感謝しています。素晴らしいマシンを仕上げてくれました。 第4戦のもてぎも引き続き無観客での開催となりますが、再びホンダのホームコースであれもてぎで、次は一勝をあげられるよう引き続き精進して参ります。
◎山本尚貴選手
レースは厳しい展開になると予想していました。予選後、遅くまでみんなと議論し、決勝に向けてやることを決めたのですが、それがいい方向に働いてくれました。
牧野(任祐)選手が前半にすごく追い上げてくれてポジションを上げてくれたことで、最後に2位を得られたんじゃないかなと思っています。決勝では、今までやったことのないようなセットを取り入れ、良かった部分がありました。そこで気が付いたのはまだまだ僕たちがこのクルマ(2020年バージョンのNSX-GT)の理解度が十分でなかったんだ、ということでした。
このクルマをまだまだ速く走らせることができる、このクルマにはまだ伸び代がある、ということを感じた一戦でもありました。もっともっとこのクルマを速くできるよう、みんなで仕上げていきたいと思いました。
今回の結果で弾みがつきましたが、次のもてぎではウェイトハンディによって燃料調整の対象になります。同じ対象のクルマの中でもしっかりとポジションアップできるようにしたいですね。最後までチャンピオンシップ争いの場に居続けることが何よりも大事なので、そういう戦いをこれからも続けたいと思います。
◎牧野任祐選手
レースでは、GT300クラスが絡み始めるとまわりのクルマよりもペースが良さそうだという感触があり、色んなタイミングも味方になってポジションを上げることができました。スタートは8番手でしたが、ダンゴ状態で終始前がずっと見えている状態でした。自身はいいスティントだったと思います。一方、終盤はトップの23号車が速くて追いつくことができませんでした。
とはいえ、(チーム移籍後)3戦目で表彰台に上がったのはひとまず良かったのかなと思います。でも、戦うからにはやはり優勝を目指していることに違いはありません。もちろん、次戦のもてぎに向けて、いい弾みになったことは確かです。
◎小島一浩監督
今回、予選ではもうちょっと上を狙えると思っていたのですが、ただトップを獲れるほどのパフォーマンスではありませんでした。決勝はいきなりセーフティカーが導入されたり、前半に2度そういうことがあったので、ピットインのタイミングも気になっていました。
後半、山本選手はダンゴ状態のときからトップの23号車に追いつきたい一心で走っていましたが、終盤はタイヤのピックアップが出てしまい、あとは踏ん張りながら走るだけの状態になりました。
しかし、この3戦目で2位表彰台に上がり、ランキングも3位に浮上できたので、これからの戦いにいい流れが生まれました。次はホンダのホームサーキットのもてぎ戦。
コロナ禍で、今年は新しいクルマで走行距離のマイレージが短く、クルマを用意するには手探りな部分も多かったのですが、少しずつ結果になって表れているのかなと感じます。
正解も見え始めてきたので、(もてぎ戦に向けて)期待を持っています。ここからは勢いをつけて戦っていきたいと思います。
第2戦からわずか2週間という短いインターバルで開会した第3戦。戦いの舞台が富士スピードウェイからテクニカルコースの鈴鹿サーキットへと変わり、新たな戦いが待ち受けている。なお、今大会も。新型コロナウイルス感染の予防対策の一環として、開幕以来変わらぬ無観客開催となる。
残暑厳しい天候となった鈴鹿は、朝から灼熱の太陽が照りつけ、土曜日の午前10時からの公式練習は、開始時点で気温32度、路面温度42度。しかも湿度が70%を超えるというタフなコンディションでスタートした。
No.100 RAYBRIG NSX-GTをまずドライブしたのは山本尚貴選手。鈴鹿戦に向けて持ち込んだセットアップを確認しつつ、周回を重ねていく。山本選手はピットインを繰り返してセッティングを煮詰めつつ、GT300クラスとの混走時間が1時間ほど続く間、走行を担当。その後、牧野任祐選手へと交代した。
その後ほどなくしてGT300クラスの車両がコースアウトしたことで、赤旗が提示される。およそ6分の中断を経てセッションは再開したが、走行時間の延長なしに午前11時25分からGT300クラス専有走行が、そして午前11時35分からGT500クラス専有走行が10分間行われた。
混走時のチームベストは山本選手による1分48秒803。牧野選手が担当した専有走行時は気温34度、路面温度44度までコンディションが上昇。加えて、ニュータイヤを装着することなくレースに向けての確認作業を継続したため、タイムは1分49秒864に留まることとなり、No.100 RAYBRIG NSX-GTは9番手でセッションを終えている。
午後からのノックアウト予選Q1は午後3時3分にスタート。気温こそ朝とほぼ同じだったが、強い日差しのせいか、路面温度は51度まで上昇する。前回と異なり、Q1に出走したのは山本選手。アツトラップ後、2周目にベストタイムとなる1分47秒488をマーク。
8番手で通過を果たした。続くQ2は午後3時41分から始まり、路面温度は48度とやや下がる中、牧野選手がアタックに挑む。だが惜しくも勢い余り、刻んだアタックラップは1分48秒122。さらにアタックを続行した牧野選手だったが、ベストタイム更新とはならず。結果、No.100 RAYBRIG NSX-GTは8番手から決勝レースを戦うこととなった。
朝のセッションから予選に向けてセットアップの見直しを行い、アタックに挑んだNo.100 RAYBRIG NSX-GTのふたり。「セッティングを見直し、クルマの仕上がりは良くなった」というのは山本選手。ただライバルたちが同様にタイムアップを果たしたこともあり、「いまひとつ足りなかったかも」と悔しさをにじませた。一方の牧野選手は「アタックでのミスがありました。デグナー2つ目でほぼ飛び出すほどでした。
ただそれがなかったとしても順位がひとつかふたつ上がる程度だったと思う」とアタックを振り返りながら、「バランス的にうまくいっていないところが残っているので、明日の決勝に向けてうまく合わせていきたい」と意欲を見せた。
ニューNSX-GTでの鈴鹿デビュー戦、躍進を狙う!
7月に幕を開けた2020年のSUPER GTシリーズ。3週間の間に富士スピードウェイで2戦を消化、さらに2週間後に第3戦鈴鹿を迎えることになる。
山本尚貴選手とチーム新加入の牧野任祐選手による新コンビで今季を戦うNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、富士で2戦連続入賞を果たし、着実なレース運びを見せている。しかしその一方で、ライバルとの戦いにおいて、”あと一歩””さらに一歩”の速さや強さを模索中でもある。
ミッドシップからFRへ変化し、”進化型”NSX-GTとなった今シーズン、セッションによってはその速さを遺憾なくアピールしてはいるが、レース中は状況次第でその優位性が影を潜めてしまうこともわかってきた。タイヤ選択はもちろん、パッケージとしてのクルマ作りを高めていく作業も欠かせないが、ポテンシャルアップが著しいライバルたちとの攻防戦を勝ち抜くには、今こそHonda勢としてさらなる強さを追求していくことが必要となる。
今大会は、かつてSUPER GTのシリーズ戦に組み込まれていた1000kmレースの開催日程とほぼ重なる。つまり、天候次第で真夏日の厳しい戦いになる可能性も高い。さまざまな外的要因を踏まえた上で強いクルマを準備し、タフな一戦に挑まなくてはならない。なお、シーズンオフの鈴鹿テストがなかったため、どのチームにとっても”ぶっつけ本番”のレースに変わりはない。チームが持つイメージとレースウィーク中の走行状況の誤差をいかに最小限に留めるかが、相手に先手を打てるかどうかのポイントとなるだろう。
No.100 RAYBRIG NSX-GTにとっては、速さに加え、強さをしっかりアピールできる戦いを目標に、秀でたパフォーマンスを披露したいところだ。