RACE
DATE
CIRCUIT
WEATHER
RESULT
|
2022 AUTOBACS SUPER GT Round2『FUJI GT 450KM RACE』
予選:2022年5月3日 決勝:2022年5月4日
富士スピードウェイ(静岡県)
予選:晴れ / ドライ 決勝: 晴れ/ドライ
公式練習:14位 予選:7位 決勝:5位
|
ゴールデンウィーク中の開催となったSUPER GT第2戦富士大会。5月3、4日は青空が広がる好天気に恵まれ、舞台の静岡・富士スピードウェイには2日間で7万3千人ものレースファンが足を運んだ。開幕戦で2位入賞を果たしたNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)は、30kgのサクセスウェイトを搭載する戦いのなか、予選は7番手からスタート。決勝は波乱が続くタフな展開となったが、粘り強く戦い抜き、5位入賞を果たしている。
清々しい朝を迎えた決勝日。強い日差しが照りつけ、午後1時の段階で気温は19度ながら、路面温度は早くも33度まで到達。決勝ではタイヤコントロールも含めた戦略も重要になってくるものと思われた。
なお、決戦に先立ちチームの総監督であった高橋国光氏を悼み、場内では黙とうが行われた。また施設内のビジョンには輝かしい戦歴を誇ったドライバー時代からチーム代表として後進の育成に務め、戦いの場で指揮を執った在りし日の姿が映し出された。
午後2時30分、450km、100周の戦いに向けてフォーメーションラップがスタート。
4万4千人の観客がこれから始まる白熱の戦いを静かに見守る中、まずNo.100 STANLEY NSX-GTのスタートドライバーとして山本選手がアクセルを開ける。間髪入れず攻防戦となったが、ポジションキープでオープニングラップを終えると、翌周には前方の2台_8号車NSX-GTと24号車Zを攻略。
さらにポールスタートの19号車GR Supraもポジションを落としており、山本選手は4番手に浮上する。
スタート直後はメーカーや選択したタイヤによってウォームアップの違いが顕著に出やすいこともあり、前後車両とのギャップもしばらく落ち着かなかったが、20周をすぎると一旦膠着状態に。そんな中、No.100 STANLEY NSX-GTはライバルより先んじて26周終わりでルーティンのピット作業を決断。36.7秒でタイヤ交換と補給を行い、牧野選手をコースへ送り出した。GT500クラス全車が1回目のピット作業を終えたのは43周終了時。そしてこのタイミングでGT300車両がヘアピンでスピンを喫し、ガードレールに衝突するアクシデントが発生した。
周辺には激しく破損したパーツが散乱、フルコースイエローが宣言されたが、すぐさまセーフティカー(SC)ランへと切り替わり、アクシデント発生から20分後となる午後4時1分には赤旗が提示されてレースが中断。これは、衝突によるタイヤバリアの損傷が激しく、レースを継続しながらの修復が難しいという判断によるものだった。その後、レースは午後4時25分にSCランによって再開。その8分後にリスタートを迎えた。
この時点で牧野選手は7番手を走行。一方で、先頭車両のポジション争いが激化、オーバーランする車両も出るなどコース上が混乱し、No.100 STANLEY NSX-GTは9位へと後退することに。しかし、このあと、前の1台がドライブスルーペナルティを受けてピットイン、8番手から改めて後半の戦いに挑もうとしていた。そんな中、59周目に入ったばかりのメインストレートで大きなアクシデントが発生する。
テール・トゥ・ノーズでトップ争いをしていたGT500の3台のうち1台が、トラブルを抱えスロー走行中のGT300の車両を回避したところ、クルマの挙動が乱れてスピードに乗ったままグランドスタンド側のガードレールに激突。回転を繰り返しながらコースサイドに停止する。セーフティカーの提示から即座に赤旗へと切り替わり、レースは中断。幸いにしてドライバーは自力で降車したものの、その後、レース再開に向けて修復作業に長らく時間を要した。
この時点でコース上にクルマが留め置かれ、ドライバーも一旦クルマを離れたが、作業を終えてレースが再開したのは午後6時10分。再び牧野選手が乗り込んだ。大会規則で最大延長時間が午後6時20分と決まっているため、最後はSCランによって3周を走行、62周終了をもってレースは幕を下ろした。
なお、No.100 STANLEY NSX-GTは7位でチェッカーを受けたが、上位2台がペナルティによるタイム加算を受けたことにより、5位を手にしている。
思いもよらぬ形で戦いを終えることになった富士大会。アクシデントに遭遇したドライバーが無事であったことはせめてもの救いと言えるが、次の第3戦鈴鹿では、安全性を確保した上での素晴らしい戦いが繰り広げられるよう願うばかりだ。
◎山本尚貴選手
レースが荒れた展開で終わってしまったので、まずは長い時間応援いただいた皆さんにお礼が言いたいです。(来場者の方は)最後まで残ってくださってありがとうございました。
レース序盤にポジションを上げていい形で(牧野任祐選手に)つなげようと思っていたのですが、なかなかペースが上げられず、苦戦しました。最後のスティントではまた僕が走る予定をしていたので、そこで追い上げてゴールする予定でした。
次戦もしっかりとポイントを獲得できる一戦にできるようチームと一緒にがんばります。
◎牧野任祐選手
スティントを代わり、走り出しから(クルマの)ちょっと様子がおかしくなって。また僕のスティント中に大きなクラッシュがあって……
まず何よりも(クラッシュした3号車の)高星明誠選手が無事に(クルマから)降りて大丈夫だったことが良かったと思っています。
僕たちのクルマもダメージがありましたが、メカニックの皆さんが対処してくれて、こういう展開でしたが結果として5位になれて良かった……とは言えないですが、こういう展開には皆さんに申し訳ないと思っています。次戦以降もチーム含め、SUPER GTがもっと良くなるように、と思いますのでこれからも応援してください。
◎小島一浩監督
結果として5番手というリザルトになりました。
かなり波乱のレースで、チームとしていつも得意としている追い上げがなかったのですが、最終的に5番という結果で良かったという気持ちです。次のレースにつなげることができました。まだ残り6戦あるので、またチーム一丸となってがんばっていきたいと思っています。応援よろしくお願いします。
前日の搬入日には鉛色の雲があたり一面に広がり、雨が降ったりやんだりした富士スピードウェイ。しかし、予選日を迎えたこの日は雲もなく、爽やかな青空に恵まれ、霊峰富士も麗しい姿を披露した。気温13度、路面温度18度という状況のなか、午前9時から公式練習が始まると、GT300クラスとの混走枠でまず牧野任祐選手がコースイン。20周を終えて山本尚貴選手へとバトンタッチする間、2度ピットインし、セットアップの調整などに勤しんだ。山本選手はセッション開始から1時間を迎える頃から周回をはじめ、牧野選手同様にセットの調整など細かな作業を続ける。そしてGT500クラスの専有走行終盤に1分28秒057のチームベストタイムをマーク。14番手でセッションを終えた。
午後3時からまずGT300クラスのノックアウト予選Q1が始まり、GT500クラスのQ1は午後3時33分にスタート。すでに気温のピークは過ぎており、朝のセッションとさほど変わらない状況。その中で牧野選手がアタックを担当、6番手となる1分26秒746のタイムを刻んでQ2へと駒を進めた。
午後4時11分からのQ2でアタックに挑んだ山本選手。前大会の岡山では牧野選手がQ2を担当しており、自身としては今回がシーズン初のQ2出走となる。タイミングを合わせ、計測4周目に1分27秒241をマークし、暫定トップへ。ライバルたちがまだアタックを続ける一方、山本選手も翌周には1分27秒161までさらにタイムを削る。
そしてチェッカーフラッグが出る中、激しくポジションが入れ替わることとなり、No.100 STANLEY NSX-GTは7番手でアタックを終えている。
「今朝も岡山戦同様、走り出しの調子は決して良くなかったのですが、そこからエンジニアはじめチームのみんながアジャストしてくれたことでQ1を通過できた」とアタックを振り返った牧野選手。長丁場の戦いならではの粘りあるアプローチで表彰台を狙いたいと語った。一方の山本選手は、30kgのウェイトを搭載してのアタックに対し、「クルマのバランスがあまり良くなかったので、調整をしてもらったことで予選のパフォーマンスはかなり良くなった」とコメント。Q1からQ2にかけてセッティングの微調整が裏目に出たかも、と苦笑いしたが、「決勝は距離も長いし7番手からなので、燃料を積んだ状態のほうがクルマのパフォーマンスが良さそうに思います。しっかりと追い上げるという自分たちの強さを見せられるレースができれば」と意欲を見せた。
第2戦富士、450kmの長距離レースでも強い走りを!
2022年シーズン開幕戦を2位表彰台で終えたチームクニミツ。新型NSX勢として予選、決勝ともに最高位を獲得するパフォーマンスを披露し、スタートダッシュをしてみせた
それから間髪入れず迎える第2戦の舞台は静岡・富士スピードウェイ。恒例となるゴールデンウィーク中のイベントでは、昨年は500kmレースでの実施だったが今年は450kmでの開催となる。
この背景にあるのは、今後のレースフォーマットやレギュレーション変更が関係する。SUPER GTをプロモートするGTAでは、カーメーカーには速さだけでなく、エンジンに対しては出力ではなく燃費の向上を、そしてタイヤメーカーにはグリップよりロングライフ化に向けた方向での開発を要望しているため、まずはその”実験場”として、今シーズンは第2戦および第4戦の富士と第5戦鈴鹿での450kmレースを実施する。なお、大会期間中、レースで使用できるタイヤは7セット。通常の300kmレースより1セット増となる。
開幕の岡山戦では、予選、決勝ともに都度高い対応力を発揮し、チームとして出来うることを実践。戦いで見えてきた問題点の改善など、限られた時間ではあるが富士に向けて丁寧に準備を進めるのみだ。昨年の500kmレースでは、予選15番手からポジションアップを重ね、粘り強い戦いで4位入賞を果たしている。岡山での戦いを考えても、連続表彰台も充分に期待が持てる。
なお、今大会では新たなレギュレーションが設けられると言われており、これまでと異なる戦略が取り入れられる可能性もある。五月晴れの中で、No.100 STANLEY NSX-GTの躍進を見守りたい。