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2022 AUTOBACS SUPER GT Round5『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450KM RACE』
予選:2022年8月27日 決勝:2022年8月28日
鈴鹿サーキット(三重県)
予選:曇り/ ドライ 決勝: 晴れ/ドライ
公式練習:12位 予選:8位 決勝:11位
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サマーブレイク後の富士戦から3週間が過ぎ、SUPER GT第5戦は、8月最後の週末に鈴鹿サーキットで決戦を迎えることになった。シーズン2度目の鈴鹿で臨んだ450kmレースで、チームクニミツのNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)は予選8位から5位フィニッシュを目指していたが、ファイナルラップで思いもしないクラッシュに見舞われ、11位で戦いを終えている。
予選日同様、白い雲がサーキット上空をすっぽりと包み込むような天気となった日曜日。ただ、吹く風は涼やかで早くも初秋の訪れを感じさせた。だがその後、午後に向けて徐々に夏の太陽が存在感を増し、いつしか青空が戻ってじりじりと強い日差しが照りつけるようになる。しかしながら、気温の上昇は少なく、レース中はほぼ31度のままで、路面温度においては38度から40度の間を推移した。
決勝前には20分間のウォームアップ走行が行われ、前日の予選後に調整を加えた車両の最終チェックが終わると、いよいよ午後2時30分のスタートを迎えるのみ。No.100 STANLEY NSX-GTに乗り込んだのは、牧野選手。8番手スタートを決めてポジションキープでオープニングラップを終了、早速に前方の車両へとアプローチして逆転のチャンスを伺った。その一方で、今回のレースではいつも以上に早めのタイミングでルーティンワークに取り組むチームも見られたが、No.100 STANLEY NSX-GTは逆にやや遅めとなる30周終わりでピットイン。山本選手へと交代し、併せて給油とタイヤ交換も行なった。
早い周回数で1回目のピット作業を行い、ドライバーがダブルスティントを行うチームがいたこともあり、コース復帰後は13番手から第2スティントを始めることになったNo.100 STANLEY NSX-GT。山本選手はタイヤに熱が入ると次第にペースアップし、周回を重ねていく。ポジションアップの期待が高まる中、当初1秒ほどあったギャップが0.1秒強まで縮まり、攻防戦を展開したが、周りのライバルたちも次第にタイムアップしはじめ、なかなかチャンスが訪れない。このままでは、実際の上位陣との差を縮めるチャンスが減るばかり……そう懸念したチームは、2回目のピット作業を早めのタイミングで遂行する戦略へと切り替える。
結果、44周終わりでのピットインを敢行。今度はドライバー交代はもとよりタイヤ交換もせず、給油のみに留める”時短”戦略に踏み切った。するとコース復帰後から程なくして、GT300車両が130Rで大きなクラッシュ。これを受け、レースではセーフティカー(SC)が導入されることに。54周終わりにはリスタートして残り20周強での戦いが改めて始まったが、SCを挟む形で2度目のピット作業を行なったチームも多く、結果としてNo.100 STANLEY NSX-GTは6番手までポジションを上げる形で猛追を開始することになった。
依然緊迫した状況でありながらも、山本選手は高い集中力を保ってペース良く周回を重ねていく。70周の時点でFCY(フルコースイエロー)が導入される前には、前方の車両がトラブルに見舞われたり、ペナルティを受けたため4番手に浮上。表彰台獲得が見える中、その後はさらに前後車両とのギャップが縮まって激しい攻防戦を展開したのだが、惜しくも73周目には後方車両の先行を許した。結果、5番手でファイナルラップに向かったNo.100 STANLEY NSX-GTだが、130Rでまさかのクラッシュ。ちょうど後方車両との応戦の中、並走する形でコーナーへと進入、山本選手が取ったアウト側の走行ライン上には長いレースの末におびただしいタイヤかすが落ちており、そこで体勢を崩してコースアウトしてしまったようだ。
幸い、山本選手は自力でクルマを降りており、大事には至らなかった。これにより、No.100 STANLEY NSX-GTはチェッカーフラッグを受けることなく11位で長い戦いに幕を下ろしている。
タフな展開を粘り強く走り続け、表彰台も見える戦いを続けたNo.100 STANLEY NSX-GT。今回、チェッカーを目前にしてチームを襲ったアクシデントによって極めて残念な形で戦いを終えることになったが、終盤戦としてまだ残り3戦が控えている。限られた時間の中で、最大限の準備をして第6戦SUGOに臨まなければならない。これまで幾度となく逆境を跳ね返してきたチームクニミツの戦いは、まだまだ終わらない。
◎山本尚貴選手
残念ながら決勝ではクラッシュしてしまい、チェッカーを受けることができませんでした。身体の方は大丈夫です。最後はダブルスティンでタイヤを交換せずに走ったため、タイヤがかなりきつい状態でした。(ファイナルラップでは)なんとかポイントを獲りたかったし順位を落とさずゴールしたかったので粘って(23号車と)並走することになって、タイヤかすに乗ってしまいました。
結果、ノーポイントでレースを終えることになり、チームにも迷惑をかけてしまったので、非常に悔しい思いと申し訳ない気持ちです。ここでしっかりと気持ちを切り替えて、次のレースではまた前のポジションでしっかりとレースができるように頑張ります。
◎牧野任祐選手
8番手でスタートして、最後はクラッシュして11位フィニッシュでしたが、山本選手が無事で良かったです。レースは厳しい展開になりましたが、大事なところでペースを上げることもできましたし、戦略面では自分たちができることすべてをやれたと思います。ただ、勝つにはまだ少し足りない部分があると痛感したので、この先はチーム、そして山本選手と共にまた仕切り直していきます。
サクセスウェイトは乗っています(46kg)が、今回のパフォーマンスを考えてもまだまだ勝てるチャンスはあると思っていますし、勝ちたいですね。
◎小島一浩監督
予選では、厳しい状況の中でドライバーとエンジニアがうまくアジャストしてくれて、Q1突破を果たすことができました。決勝では、牧野選手にスタートを任せ、基本的に1回目のピットインをできるだけ延ばす予定をしていたのですが、そこは作戦通りに運びました。続くセカンドスティントは、周りのチームがドライバー交代をせずに走行する戦略だったために、結果として後方のクルマにアンダーカットされることになりました。
焦るつもりはなかったのですが、見た目としてポジションが12〜13番手まで落ちたので、ポジション挽回のためにどうするかを色々検討しました。また、この集団に挟まれるような形での周回が続き、ペースアップすることも難しくなりました。このままではさらにトップとの差が開いてしまうという懸念があったので、2回目のピットインを早める戦略に切り替えました。また、残り周回数も考慮してタイヤ無交換を遂行しました。結果としてポジションアップに繋がったので、終盤に向けてはとにかくこのポジションをキープしてチェッカーを受けるだけだったのですが、セーフティカーが入ってしまい……。またここで周りからの影響をいろいろ受けることになり、後続にいた車両に先行されました。タイヤへの負荷が多い中、無理をしつつ追い上げることになり最後のアクシデントが起こってしまいました。
作戦的には2ピットの利点をうまく活かし、ポジションアップにもつなげることができたのですが、下位からの追い上げというところで、ドライバーには無理をさせてしまったという反省もあります。ただ、山本選手が無事で何よりでした。次のSUGOに向けて、もう一度チームとして仕切り直して、しっかりと戦っていきたいと思います。
予選日の午前9時25分から始まった公式練習。気温30度、路面温度34度のコンディションだったが、薄曇りで日差しも弱い中でのセッションとなる。まずはセッティングはじめ、持ち込みのタイヤとコンディションのマッチングを確認するなど、作業内容は多岐に渡った。第4戦までの戦績によって46kgのサクセスウェイトを搭載する中、まずはNo.100 STANLEY NSX-GTには山本尚貴選手が乗り込み、やるべきメニューに着手した。
GT300クラスとの混走枠でほぼ1時間近くドライブした山本選手だったが、開始序盤のタイミングで1分47秒630のベストタイムをマーク。その後はセッティングの微調整を重ねた。また、山本選手からステアリングを受け継いだ牧野任祐選手は、まずロングランの確認を行う。その後、GT300クラス専有走行となったが、終了直後にデグナーカーブで1台の車両が緊急停止したことから、赤旗となりセッションが中断。8分後には再開され、引き続き牧野選手がドライブを担当して終盤にアタックシミュレーションを行い、走行を終えた。なお、チームベストは序盤に山本選手が刻んだもので、ポジションは12番手だった。
午後からのセッションは当初の予定より20分遅れでスタート。よってノックアウト予選Q1は午後3時53分からとなり、No.100 STANLEY NSX-GTのステアリングを握ったのは山本選手だった。開始時のコンディションは気温31度、路面温度38度。
アウトラップを終えた山本選手は2周かけてタイヤをウォームアップ。いよいよアタックラップに入った。各車次々とベストタイムを更新しながらチェッカーを受けていく中、山本選手も1分45秒775のベストタイムを刻み、7番手へ。Q2に駒を進めることになった。
午後4時31分に始まった予選Q2。気温、路面温度ともにQ1と変わりなかったが、上空にはさらに厚い雲が広がっていた。牧野選手もQ1を担当した山本選手同様に、2周のウォームアップを経てアタックに挑むと、1分46秒118をマーク。チェッカーを受けた時点で6番手につけていたが、その後、このタイムを上回る他車が出たため、No.100 STANLEY NSX-GTは8番手で予選を終えている。
予選を終えた山本選手。自信が担当したQ1について「公式練習から予選までのインターバルでセット変更したものが、かなり良い方向にいった」とし、手応えを得た様子だった。ここ2戦はQ1突破できず、クルマとして”一発の速さ”に課題があったというが、 今回の結果によって終盤戦に向けて好材料を手にすることができたと言えよう。一方、Q2を担当した牧野選手は「アタックでちょっと失敗があった」と振り返ったが、「久々となる鈴鹿での長いレースでしっかりといいレースがしたい」と意気込んだ。決勝では、チームが得意とする粘りある戦いから、上位フィニッシュの実現を目指すことになる。
サマーブレイクを経て開催された前回の富士戦。予選、決勝を通じて思うような速さを発揮できないまま戦いに臨まなければならなかったチームクニミツのNo.100 STANLEY NSX-GT。その中で、ミスなく我慢の走りを続けたことで貴重な3ポイントを獲得。チャンピオン争いに向けて粘りのアプローチを続けている
富士の戦いからわずか3週間という限られたインターバルで次の第5戦鈴鹿を迎えることになるが、まずは450kmの戦いで得ることになったデータをしっかり分析し、今のNo.100 STANLEY NSX-GTに必要なもの、足りないものを明確にする必要がある。正直なところ、限られた時間の中で取り組めるものは決して多くはない。しかしながら、やや停滞気味の現状を打破し、これまで培ってきたチームとしての実績はもちろんのこと、山本尚貴、牧野任祐両選手のポテンシャルを最大限活用して戦いに挑みたい。
前回に続き、この鈴鹿戦も450kmの戦いとなる。天候不順で富士ではさほど気にならなかった真夏の暑さだが、鈴鹿では猛暑になる可能性もある。コンディションに見合うクルマを準備し、レースウィーク中はいかなる変化にも適時対応することで、チームとしての底力を発揮したいところだ。
ベストコンディションの状況で、No.100 STANLEY NSX-GTらしいパフォーマンスを披露すること__それがシーズン中盤戦における最大限の目標でもある。