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2022 AUTOBACS SUPER GT Round4『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 100Lap RACE』
予選:2022年8月6日 決勝:2022年8月7日
富士スピードウェイ(静岡県)
予選:曇り/ ドライ 決勝: 晴れ/ドライ
公式練習:7位 予選:9位 決勝:8位
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およそ2ヶ月のサマーブレイクを終えてシーズン中盤戦に入った今シーズンのSUPER GT。第4戦の舞台は今季2度目の富士スピードウェイだが、レースウィーク中は薄曇りの天候が続き、真夏の厳しい暑さとは様相が異なる一戦となった。その中で繰り広げられた長距離レースにおいて、チームクニミツのNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)は予選9位からスタート。粘りある走りを続けて8位でチェッカーを受け、開幕戦からの連続入賞をまた一つ伸ばしている。
前日同様に薄曇りの天気ながら、時折眩しい光が差し込んだ日曜日。徐々に気温も上がり、僅かながら夏らしいコンディションが復活した。ただ日中の気温は30度を超えることはなく、さまざまな状況を意識した戦いになることが予想された。決勝前、12時30分からのウォームアップは、気温28度、路面温度36度と相変わらず夏のレースにしては低いコンディション。加えて、鉛色の空がにわかに広がり、走行を終えてグリッド上で各車両が待機する中、ポツリポツリと雨が落ち始め、瞬く間に強く降り出した。
幸いにして通り雨で済んだものの、場所によっては路面が濡れた状態に。どうやら”突然の訪問者”は、コース上に置き土産を残して去ったようだ。いよいよ3年ぶりの復活となった静岡県警による白バイとパトカーのパレードラップを経て、フォーメーションラップがスタートしたが、その後は従来のフォーメーションラップに加え、濡れた路面が一部残っていることから、エキストラフォーメーションラップを実施。結果、レースは100周から1周減算の99周での開催となる。
スタートを担当した牧野選手は後方の14号車Supraの先行を許し、10位でオープニングラップを終了。その後、前の車両がペナルティを受けてピットインしたため再び9位で周回を重ねていく。
ペースアップを目指したNo.100 STANLEY NSX-GTだったが、思うようなレース運びにはならず、厳しい状況に。引き続き牧野選手はミスのない走りを見せたが、チャンス到来とはいかなかった。
最初のルーティンワークは38周終わりで実施。給油、タイヤ交換、そして山本選手へ交代する”フルサービス”を46.3秒で行ってコースへ復帰。No.100 STANLEY NSX-GTの第2スティントが幕を開ける。その後、43周終わりでコース上にいる全GT500車両が1回目のピットインを終了。山本選手は10番手からポジションアップを狙って懸命の走りを見せるが、序盤の牧野選手同様にペースが上がらない。
なんとか60周を前に9番手へと浮上したが、前方車両との攻防を繰り広げるような見せ場はなく、長きに渡り我慢の走行が続いた。
そんな中、チームは68周終わりで2回目のルーティンストップを行う。ここでは給油とタイヤ交換だけに留め、ドライバー交代はせず最後まで山本選手が連続でステアリングを握ることに。一方で第3スティントでは途中から路気温が下がっていくことを予想し、タイヤは第2スティントで装着したハードに代わり、ミディアムを選択する。コース復帰後は、すぐさまそのタイヤグリップを武器にペースアップを果たす山本選手。だが、終盤になるとそのフィーリングも一変。惜しくも最後まで逆転のチャンスを掴みきれず、99周の戦いを8位入賞という形で終えることになった。
今回、存分な速さを披露できずに終わったNo.100 STANLEY NSX-GT。予想以上に路気温が低い中での450kmレースで、手応えある戦いをするのが難しい状況に陥ってしまったと言える。次戦の鈴鹿もまた長丁場の一戦だけに、速さと強さによる絶妙なバランス確保が必須。困難を打破し、粘り強く走り抜くというチームクニミツの信条を貫く意味でも、今度こそ上位でのチェッカーを実現させたいところだ。
◎山本尚貴選手
決勝ではもう少しいいレースができて、追い上げられると思っていたのですが、ここまでペースもポジションも上げられず、何もできなかったレースはあまり身に覚えがないくらいです。決勝に向け、できることをいろいろとやったのですが、第2スティントと第3
スティントを僕が担当する中で、ハードからミディアムと異なるタイヤを着けました。
ミディアムタイヤでのスティント序盤は、かなり調子が良かったので、このまま追い上げられるかと思いましたが途中からグリップが出なくなり、ラップタイムがなかなか上げられない状況でした。苦しいレースになり、期待していたポジションで帰ってくることができませんでしたが、貴重なポイントを取りこぼすことなく獲得することができたことを前向きに捉えたいです。ただ反省点が多かったレースでもあったので、チームのみんなとデータを見返すことで次の鈴鹿戦では表彰台に絡むことができるレースをしっかりしたいと思います。
◎牧野任祐選手
結果的に追い上げることができず、厳しいレースになりました。レースに向けていろいろ取り組みましたが、うまく機能しなかったですね。今のところ去年のような強いレースができていないという状況なので、期間はあまりないですが、次の鈴鹿に向けてできることをやってしっかり準備をしていきたいと思います。
◎小島一浩監督
総体的にNSX-GTとしての速さを引き出すことが難しい戦いだったと思います。ただ、チャンピオンシップを考慮して、レースでは1点でも多くポイントを取りたいという思いがありました。一方で、予選はさほど悪いものではなかったと思います。確かに、Q2には100分の3秒ほどの差で進出できませんでした。
その中でも、足りないスピードを補うために、レースに向けていろいろ手を尽くしたのですが、両選手を持ってしても追い上げることが難しかったですね。次の鈴鹿戦に向けてもあまり時間はないですが、今、その原因を究明しています。一方で、厳しいながら8位でレースを終えて3ポイントを獲れたことは大きな成果でした。
灰色の重い雲が辺り一面に広がった予選日。午前9時5分に始まった公式練習は、気温21度、路面温度25度という真夏とは思えないコンディションで幕を開ける。
なお、セッションはウェット宣言下でスタート。これは前夜遅くに降った雨がコースに残っていたため。さまざまな状況を想定して戦いの準備をしてきたNo.100 STANLEY NSX-GTは、まず持ち込みのセット確認はじめ、装着タイヤの見極めなどの作業を順次進める予定だったが、まずはウェットタイヤでの走行を開始した。
出走した山本尚貴選手は、コンディションが改善したことを確認してスリックタイヤへと交換。セット確認および持ち込んだ2種類のタイヤチェックを優先的に進め、そこで得たクルマのフィーリングをフィードバックした。路面の変化が大きかった一方で、限られた時間でやるべき作業に数多く取り組んだという。GT300クラスとの混走枠の終盤には代わって牧野任祐選手が出走。そのままGT500専有走行もドライブを担当すると、燃料を搭載して決勝用シミュレーションなどにも取り組んだ。この後、コース上ではFCY訓練、さらには3年ぶりに復活したサーキットサファリが行われた。
迎えた午後のノックアウト予選Q1。GT500クラスのQ1は午後3時35分に始まり、コンディションは気温22度、路面温度27度と公式練習に近いものだった。アタックを担った牧野選手は、薄曇りの中で自己ベストとなる1分27秒362をマーク。さらにもう1周アタックしたが、惜しくも更新には至らず。なんと0.031秒という僅差で9位に留まり、惜しくもQ1敗退という形で予選日を終えた。
予選を振り返り、「アタック自体は手応えがあったのですが」と悔しさを滲ませた牧野選手。「ただちょっとしたミスだったり、自分でもやれた部分があったのではないかと思います。これは自分の問題です」と反省しきり。決勝に向けては「天候が今日と明日とで異なるだろうから、セットをきっちり合わせ込み、しぶとく頑張っていきたい」とコメントを残した。一方、Q2での出走が果たせず終わった山本選手。「僅差で結果が大きく違ってくるのは、富士ならでは。それがここでの予選の怖さであり、面白さだと思います」とドライバーならではの心中を語り、「決勝に向けてクルマはまだ十分とは言えないので、やれることをやって戦いに臨みたい」と意気込んだ。
前回の鈴鹿戦からおよそ2ヶ月強という長いインターバルを経て迎える第4戦。その舞台は、今シーズン2度目の戦いになる富士スピードウェイ。ゴールデンウィーク中に開催された初回の富士戦は大荒れのレースとなり、また規定距離を消化できずに終わっているだけに、今大会は450km・100周レースをクリーンに展開したいところだ
第3戦を終えた現時点で、チームクニミツのNo.100 STANLEY NSX-GTはランキング3位。富士戦からのシーズン中盤戦は、着実に結果を残していきたいところ。そのためにもコンディションに適したクルマを用意し、決勝はもちろん予選からしっかりとポテンシャルを披露していきたい。現在、No.100 STANLEY NSX-GTのサクセスウェイトは40kg。まだまだ予選で上位を狙えるだけに、ライバルを上回るパフォーマンスに期待がかかる。
決勝での450km・100周のレースフォーマットは前大会と同じだが、今回は真夏の一戦となり、気温と路面温度が大きく異なってくる。クルマ、タイヤの暑さ対策はもちろんのこと、ドライバーやチームスタッフの熱中症防止にも気を配りながらベストコンディションで戦っていきたい。何よりも、レースウィーク中のコンディションへの迅速な対応が、タフな戦いを制すると言っても過言ではないだろう。
今シーズンはライバルたちとの混戦も多く、より激しいバトルになることも少なくない。その中で自分たちの強いレースをして、着実にポイント獲得を目指していきたい。